|日々| の検索結果:
|日々| 数日前のこと。近くの小学校が創立記念日で 休校だったらしく、小学生の男子が三人。 おじいちゃんと思しき男性と一緒にやって来た。 その内の一人は、ついこの間の日曜に、母親や 姉らと来店した少年である。おじいちゃん曰く、 どうしても行きたいから、連れて行って欲しいと 頼まれたとのこと。ふむふむ、なるほど。 珈琲の代わりに、オレンジジュースではあるが、 珈琲少年予備軍、と云う訳か。この年頃の少年ら などと云うものは、大概が騒々しくて、落ち着きの 無いものと、相場が決まって…
|日々| ごうごうと。窓枠の僅かな隙間から風の音だけが 忍び込み、荒々しい、唸るよな音に、夜は大きく 揺さぶられる。今日の夕刻。外へ出ると 気配は不意にやって来て、「あ。」 温度の変わった瞬間を、確かに感じた。 薄く伸びた雲が、早回しのよにして、右から左へ。 風に押し流されてゆくのを、暫く眺めて居た。 この風は、一体、何を連れて来たのだろ…。 けれども、きっと未だ、季節は変わらない。
|日々| |本| 夏祭りの初日だのに、さめざめと雨が降り、 何だか物寂しいよな土曜日。ポットに淹れた茶を ぬるめにしたのを、少しずつ飲みながら、一日中 旅の本を読んで居た。未だ己の足の知らぬ土地は、 幾らでも在るから、こうして旅の本など読んで、 僅かに、行ったよな心持ちになって居るのは、 書斎の旅人にとっての、ささやかな至福。 中国の少数民族の女たち。目にも鮮やかな衣装と、 眼差しの力強さに、暫し、頁を操る手が止まる。 赤の鮮烈さ。大地の大きさ。 恐ろしくめまぐるしい変化と同…
|日々| 最近になって良く来る、ひょろりの中学生少年。 初めの頃は、喫茶好きの母親と一緒に来て居たのだが、 前回は同級生の友人を伴って。そして本日は独りで。 少年は毎回必ず、シナモントーストと珈琲を注文する。 近頃は珈琲の飲めない大人の少なくない中、しかも ブラックで嗜むと云う選択も含めて、なかなかの珈琲飲み なのである。母親と来るときも、友人(エンドー)を 従えて来るときも、少年は大抵、本棚と席を行き来したり、 マイペエスに時間を過ごし、憩う佇まいも堂に入って居る。 今時め…
|日々| |音| ゆらりとした手触りの朝から始まった、日曜日。 嗚呼、今日もこのまま終わるのかしら。などと 惚けて居たら、午後より次第に人の足が向く。 なるほど。何事もお天気と懐次第と云う訳か。 近頃に顕著な、こうした日々の気紛れに右往左往も 慣れてきたとは云え、やれ浮いたの、やれ沈んだの の繰り返しは、やはり、心穏やかで居られぬもの。 毎日、安堵の心持ちで朝を迎え、夜を仕舞えたなら。 掃除して、窓を拭いて、珈琲を淹れて。 日々のつとめを丁寧に繰り返すことを、軽んじずに。 腐…
|日々| |音| 今頃になって、また季節に騙された。 冷え冷えと細い雨、ひどく肌寒い日が続く。 忘れられ、放っぽり出された一日。 もうじき無くなりそな残りの灯油に火を灯し、 ストーブに寄りかかるよにして突っ伏すと、 何処からやってきたのか。境目の曖昧な眠気に うつらうつら、引っ張られてしまう。窓越しの、 少しけぶった山並みは、薄い濃淡で描かれた水墨画 みたいにして、雨の向こう側にぼおっと浮かんで、 滲んで、それがいつか見たよな風景なものだから、 油断して居ると、吸い込まれて気…
|日々| 雨上りの清々しさは、山裾の春霞の中に浮かぶよな 葉桜や新緑の黄緑と、常緑の色濃い緑とが溶け込んで、 胸のすく爽やかな空気。鼻から深々と胸一杯吸い込む。 先程までの雨粒を纏った、蕾と葉はきらきらと。 人も車もひっそり静か。ほんの束の間の忙しさを除けば、 殆どがのんびりとした印象のまま、午後が過ぎる。 汗ばむ陽気に窓を開け、気晴らしに、本の移動だの 本棚の模様替えなど少し。父が作業場より切ってきた、 大きな大きな薄桃色の牡丹の花は、今朝がたの雨粒を、 未だ纏ったまま、花…
|日々| 雨こそ止んだものの、一夜明けても風は変わらず。 空模様もぐずぐずと不安定で、薄ら寒い。 かと云って、二日続けて諦める訳にもゆかず、 煮え切らぬよな心持ちで土曜日を過ごす。 玉葱を刻みながら、恵比寿の写真美術館にて 開催中の、ジャコメッリ展のことなど 思い浮かべ、豆の入ったミネストローネを拵える。 弱火にくつくつとする鍋を、ぼんやり覗き込むと、 雨の気配が、換気扇の向こう側からしのび込む。 明け方まで妨げられた眠気が、時折近付いては、 知らぬ間に去ってゆくのを、奥歯に…
|日々| 二泊三日の旅路より元在る場所へと戻って、 一夜の明けた木曜日。ぼんやりするよか、成すべき すべきことが朝から沢山在れど、すいすいすいと 仕事が運ぶ、運ぶ。自分でも意外な程にすんなりと、 見慣れた日常のペースに戻って居るのが、何処か 当ての外れたよでもあり、何だかおかしな心地。 一段落済んでからの朝の珈琲は、先日 『クラムボン』 にて買い求めたマンデリン。つやつやの光沢。焙煎深めで、 朝からパキっと気合も入ったのだけれど、何せ暦は月末、 と云うこともあって、実にのんび…
|日々| 仕事を終え、自宅へ戻ってやや暫くすると、 突然に風が強くなってきて、サッシ戸に叩きつける。 ゴーともビューともつかぬ、唸るよな音。 編み物も一段落した夜は、些かの手持ち無沙汰で、 取り込んでおいた洗濯物を畳みながら、 明日に着る洋服など準備する。今日一日は どんなだったろう。冷え冷えとした雨は、 もう止んで居るのだろか。湯を沸かして 夜のお茶を淹れる。冷たくなった指先に、 やがてじんわりと熱が伝わり、香りのついた湯気が 鼻先までのぼってくる。ただ、ぼんやり、 風の唸…
|日々| |音| 両の掌をぎゅっと握ったまま、唇を結んだまま、 ただ黙々と歩き続けて居ても、或るとき、ふと 歩みを休めてみると、知らなければならなかった ことや、考えなければならなかったこと。 本当は気付ける筈だったことなど、 毎日が慌しく流れゆく中で、気を張った背中の ずっと後ろに置いてきてしまった、大切な 小さきものたちと、再び向き合う機会が訪れる。 ささくれ立って、固くなってしまった心に そっと触れ、やがて、やわらかに溶け出す。 確かめたり、留めたり、受け入れたりして、…
|日々| |音| 一月に入ってからと云うもの、いつにも増して ひどく暇な週が続いたりして居たので、さすがに この頃は、かくんとなりそうだったのだけれど、 今日は良く晴れてあたたかとなり、冬眠して居たよに 思えた人びとの足も、この天気に誘われてゆっくり 動き出したと見えて、午前中から人が入り出す。 どう云った訳だか、お若い方もお歳を召された方も、 皆一様に、男性のお客さんの姿が目に付く。 何かを作る計画だろか、二人で話し合って居る人。 深々と本を読み耽る人。こつこつ書き物する人…
|日々| しとしと雨の降る一日は、年の瀬と云うことも手伝って、 ぽっかりそこだけ空いてしまったよな一日。昼近くに、 一台のバンに乗ってやって来た、作業服姿の男性らが四人。 恐らく、今日が仕事納めなのかも知れないな。 皆一様に力の抜けて、安堵の表情が浮かんで居る。 時折聞こえてくる、会話の端々が微笑ましい。 昼の外食も、喫茶店で珈琲飲むのも久しぶりだなぁ。 誰かがそう云い、○○さん、いい加減帽子脱ぎなよ。 他の誰かがそう云う。和やかな談笑。和やかな休憩。 一万円札を百円玉みたい…
|日々| |音| 曇り。雨降り。曇り。雨降り。そして晴れ。 一日の中にめまぐるしい天気は、師走の慌しい匂いを せっかちに漂わせ、往来の車も皆スピードを飛ばす。 景気のせいか、それとも時勢か。一部個人宅の過剰な 電飾などを除けば、クリスマスも間近と云うのに、 何処彼処もいつに無く、地味でおとなしい。 寂しいと云われれば、確かにそうなのだけれど、 地味好きにしてみれば、かえってこの方が好ましいと 思えない訳でも無い。際限無く飾り立てたり、 光らせたりするよりも、人びとや街が新年を…
|日々| 今日は冬至だから、夜にはロウソクでも灯そうかしら。 などと考えもしたけれど、ゆく人も車の気配も まったく希薄なものだから、誰も居ないところで ロウソクを灯したりしたら、何だかかえって 寂しくなりそな気がして思いとどまった。 一体、人びとは何処へ隠れてしまったのだろ。 この時期は恐らく皆、忘年会などに忙しくて、 喫茶店でのんびりどころでは無いのだろな。 それにしても冷え冷えと、ひどく静かな夜。 表が暗くなってからは、編み棒を動かしたり、 それに疲れると、本をめくったり…
|日々| |音| 先日、ただ何とは無しに手に取った時刻表を 買い求めてからと云うもの、一旦ぱらりと始めたら これが非常に愉しくて、暇を見付けては読み耽る午後。 一日在ったら、何処まで行って帰ってこられるか。 桐生は完全に日帰り圏内。所用時間、約四時間。 朝早く出立し、途中で二回程乗り換えて。 両毛線は昔、前橋を訪ねたときに乗ったのだったな。 予定にも無く、行くかどうかも知れぬ旅を、 鉛筆片手に、紙の上だけで組みたてる愉しさ。 たかだか六百円の、安上がりで有意義な暇潰し。 [火…
|日々| |音| 三日続きの休みの後は、丸一日がぽっかり空いて、 寒々しい曇り空は、秋と冬の間を行き来する。 午後三時をまわった頃。ドアに小さな張り紙貼って。 「四時半まで留守にします」 三人して、観光ピークの終わった秋の渓谷へ。 散策道手前の駐車場は、がらんとして居て、 他県ナンバーの乗用車が一台だけ。 先週までは出て居た筈の売店の姿も消え、 こんな静寂で渓谷を歩くことに安堵する。 吊り橋の近くまでやってくると、盛りの時期の賑わい とはほど遠い、僅かな人びととすれ違う。 写…
|日々| いつものよに窓を磨き、いつものよに床を掃き、 いつものよにサイフォンを準備し、 いつものよに店を開ける。いつもと同じ金曜日。 けれども、気持ちは少しだけそわとして、 背筋は少しだけしゃんとする。遠方より訪ねて下さった Tさんとご主人を、お昼を少しまわった頃にお迎えする。 互いの日記を行き来したり、文字のやりとりなど しながら、やがて、実際にお会いする機会へと繋がって。 連休の初日の金曜日は、のんびりした表情の一日となり、 幸いなことに、Tさんたちの過ごされた間ずっと…
|日々| 「厳冬」と云う言葉は耳慣れしないが、どうりで寒い訳だ。 昨晩より、床の中に湯たんぽを使い始めた。ついでにと、 仕舞っておいた膝掛けも取り出すと、途端に部屋の中が 寒い季節の様相となる。冬支度が整うと、何故だか、 夜更かしがしたくなって困る。日中も風がひどく冷たく、 近所まで買い物へ行くのに、去年に買い求めた、 分厚い紳士ものカーディガンを羽織って出たのだが、 買い物バッグを垂らした手先が、道中すぐにかじかんで、 たまらずポッケに差し入れた。首元から冷たい風が入り込み…
|日々| |本| 今日も今日とて雨が降り。 客席の配置替えしたのを、一夜明けてからしみじみ、 明るい中で改めて見てみると、何故だろか。 昨晩見たときよりもずっと、しっくりくる。 相変わらず雨は冷たく、降ると止むとを気まぐれに 繰り返しながら、時折お客さんを挟んで、午後は のっぺり起伏無く、とつとつと過ぎてゆく。 文庫本など並べてしつらえた、新しい独り席に座り、 とっくりの襟首伸ばして、膝掛け掛けて。 たっぷり淹れた珈琲など頂きつつ、電球の下、 本の頁めくる。少しくぐもった鍵盤…
|日々| |音| 郵便受けから新聞を取り出すにも、傘をささねばならぬ。 強い風に背中を押された雨は、勢い良く、寒々。 こんな土曜日は、大抵が緩やかに刻の進むものだ。 数こそ多くは無いけれど、雨の日に訪れるのは、 雨降りにだけ許される憩いを知る人びと。 本を読む人。物思いに浸る人。控え目なおしゃべり。 私は今日、珈琲を淹れ、紅茶を淹れ、パンを切り、 カップを洗い、台所に立ちながら、心の中でそっと、 お礼を云った。雨だからここへ来よう。 そんな風に思ってくれた、憩う人びとに。 […
|日々| |本| きのこ採り名人の叔父より、山のきのこは、 ヌメリササダケとアミタケの二種類。 掃除して塩水に浸けた後、大根、豆腐、茄子とで きのこ汁をこしらえる。とろりとしたきのこ汁から 湯気が立つと、ふんわり山の良い香りが。 ふうふう云いながら、椀にふたつも頂いた。 辺りが薄暗くなって、看板の電気を付けるのに 表へ出ると、すっかり肌寒くなった外気に、一瞬 ぶるっと身震いする。道路を挟んだあちら側を、 ふと眺めやれば、Tシャツにミニスカートと云う、 夏の装いの若い女性が、携…
|日々| |音| |本| 肌寒い秋雨のそぼ降る木曜日。 起きてすぐ、朝の空気に季節の匂いをかぐ。 箪笥の中から、きつね色のコーデュロイのズボン、 長袖のシャツと、少し厚めの靴下を選んで出すと、 ほんの一瞬。秋の鼻先に手が触れた気がした。 重ね着。セーター。ハシバミ色。 革靴。鉛色の空。こっくり珈琲。 日暮れは早まり、夜が段々長くなってゆく。 [Some Pieces of Rainy Thursday]
|日々| |音| 秋は何処かに隠れてしまったのだろか。 輪切りにして面取りした大根を、半分からすぱんと、 真っ二つに切ったよな月を見上げて居ると、 鈍い疲れが降りてくる。思考がが止まる。 あんまり気忙しかった昨日と比べて、緩い緩い 今日一日との間に、妙な違和感が横たわり、 何だか手持ち無沙汰な、気の抜けた風な心持ち。 洗濯物を畳んで居ると、夜風に紛れてピアノの音が 聞こえた気がしたけれど、恐らく気のせいなのだ。 [木曜日の一枚] ナット・キング・コールをしのんで ひばりジャズ…
|日々| |音| もはや暴力とも呼べる程の、荒くれ台風様のお通り。 建屋は断続的に揺さぶられ、雨は容赦無く殴りつける。 結局は、まんじりともせぬままに夜明けを迎え、 ほんの僅かの間ばかし、浅い眠りに身を横たえた。 嵐の過ぎ去った後には、不快指数のすこぶる高い、 むせかえるよな暑さばかりが、有難くも何とも無いのに、 置き土産とばかりに残され、はた迷惑な話だ、と うんざりしつつも、金曜日を金曜日として過ごす。 [金曜日の一枚] Everybody Digs Bill Evansア…
|日々| |音| 木綿のカーディガンを羽織る、肌寒い日曜。 空は少しだけ遠くなり、続く季節を手繰り寄せる。 取留めの無い、ゆるりの午後の流れ。 薄く曇った空が、夕刻の蒼に覆われ始める頃。 誰も居なくなった店内で、絵空事の音の物語に 耳を傾けつつ、こっくりとした珈琲を一口。 何と静かで、何と穏やかな夕刻。 [日曜日 静かの一枚] Charmed With Verdiアーティスト: Verdi,Yasuda,Kahle出版社/メーカー: Winter & Winter発売日: 2…
|日々| |音| 残暑の日曜日。つい数日前に感じた筈の 秋の気配は、一体何だったのだろ。 まとわりつくよな湿り気を帯びた熱風。 身体中の力が離れてゆくのを、だらりと感じながら、 夜の訪れるのを待つ、平坦で永いばかりの午後。 窓を隔てたアスファルトの路面から、溶け出したよにして 陽炎がゆらゆらとして居るのを、ぼんやりと眺めやる。 冷房から逃げ出して、台所に越し掛けると、 何処からとも無く汗がじわり、流れてくる。 こんな風な気だるさに、何考えるでも無く、 ただ寄り掛かるだけの心地…
|日々| |猫随想| 夜になると、ときどきやって来る、 白くてちいさな訪問者。 今夜もやって来た。 この前は、玄関のちょっと手前。 その前は、も少し離れた花壇の辺り。 来る度に段々近付いて、今夜は丁度 ドアを開けたところに、大きな目玉して。 外に出て近付いたら、ちょっと離れて、 Aちゃんが放ったエサ食べた。 白い毛の中に、ちょっとのブチ。 君は何処の子だい? 何処から来るんだい? いつだったかな。 雨の日にポーチで 雨宿りして居たのは。 窓から覗いたら、枕木にちっちゃな足跡が…
|日々| |音| 夏を思わせるに充分な一日に、空気が 澄んでいれば、尚のこと心地良い。 そんな折、知人より一本の電話が届き、 思いがけぬ風景を目にする事になった。 くっきりとした空。黄色い太陽の周りを、 まあるく囲むよにした虹の輪は、今までに 出遭ったことのない、不思議な眺めで、 額に両の手をかざしたけれど、眩し過ぎて、 それでもなかなか直視できない。幼い頃、 日食を見る為に、溶接用のマスクをかむって いつまでも眺めて居たのを、ふと遠く思い出す。 虹の輪は、それから暫くの間続…
|日々| |本| 朝から強い雨は続き、午後には雷も。 三時近くまで、誰一人訪れることなく、 ただただ、刻ばかりがのろのろと 過ぎてゆくのが、俄かに信じ難く、 まして、滅多に在ることでは無いし、 ちょっとした屈辱にも思えた。 空白を埋めるべく、掃除だの片付けだの、 やるべきことを、全てやり尽くした後で、 倦怠感だけが残る。確信めいた予感。 今日はもう、このまま終わるな・・・。 ますます酷くなる雨足を横目に、 午後四時。店を閉めることにした。 人生に、無駄なことなど一つも無い、 …