双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

名も無き善き人びとの一日

|日々|


しとしと雨の降る一日は、年の瀬と云うことも手伝って、
ぽっかりそこだけ空いてしまったよな一日。昼近くに、
一台のバンに乗ってやって来た、作業服姿の男性らが四人。
恐らく、今日が仕事納めなのかも知れないな。
皆一様に力の抜けて、安堵の表情が浮かんで居る。
時折聞こえてくる、会話の端々が微笑ましい。
昼の外食も、喫茶店で珈琲飲むのも久しぶりだなぁ。
誰かがそう云い、○○さん、いい加減帽子脱ぎなよ。
他の誰かがそう云う。和やかな談笑。和やかな休憩。
一万円札を百円玉みたいに扱うよな人たちより、
こんな善良な市井の人たちが、本当に仕合せになれる
世の中であって欲しい、と心より願う。
遅めのお昼を食べ、お茶を飲み、いつものよに
ゆったりしながら、気に入りの本を読んで居る女性。
物静かな若夫婦は、ケーキを食べながら各々の本を手に。
お茶を持ってゆくと、奥様がうとうとして居る。
傍目には、ただの暇と映ったかも知れないけれど、
こうした来客の合間合間、残した掃除を済ませたり、
明日の準備*1などしながら、穏やかで充実した時間が
とつとつと過ぎてゆく。殺伐とした世間の波間で
ともすると、ささくれ立ちそになって居た心が、今日
この一日の形に触れたことで、ゆっくりとけていった。
今日が雨降りで良かった…。

*1:恒例のもちつき。早起きせねば。

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