双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

|縷々| の検索結果:

小さな明かり

|縷々| ざっと掃除を終わらせて郵便受けを覗きに行くと、 バラ苗を購入している農場から、今年のカタログが届いて居た。 丁寧で誠実な姿勢と仕事ぶりは苗にそのまま映されて、 それはカタログの紙面からも、十分に伝わってくる。 困難のほうに目を向けますと、世の中には怖いことや悲しいこと、辛いことが多すぎると感じます。このようなときに心を明るく保つことは、非常に難しいことです。 皆が必死に生きる道を模索する中、わずかな希望に小さな明かりを灯しつつ歩む、その道がどうか守られますように。 …

メメント・モリよりもカルぺ・ディエムを

|縷々| 数日前から、また保坂和志の『ハレルヤ』を読んで居る。キャットタワーの箱の中から、花ちゃんの叫んだ「キャウ!」には、 先に旅立ったペチャもジジもチャーちゃんも皆が加わって居て、 それは”生きている”ものと”死んでいる”ものとが共鳴し合った 「すべての始まりの合図」であり「流れていた時間を断ち切って、 過去とか現在とか未来とか関係なくしたということ」なのだと。 頁をめくっては戻りして、同じところを繰り返し読みながら、 そうして、やっぱり分からなかったり、あ。そうか、と思…

坦々

|縷々| |庭仕事| 新芽は健やかに育ち、やわらかな若葉の各々の佇まい。 巨大な閉塞感の中へ埋もれてしまわぬよに。 窮屈さに押されて、いがいがと荒んでしまわぬよに。 庭に立って花柄を摘み、土を掘り、水をまく。 思慮分別を忘れず。日常から離れず。 日々を坦々と、暮らす。

ポッケの中の大切な気持ち

|本| |縷々| 家と庭と犬とねこ作者:石井 桃子発売日: 2013/05/23メディア: 単行本(ソフトカバー)ここに書かれたことの殆どは、戦後間も無しのことだったり、その後の経済成長期のことだけれど、物事の本質や心の在りように時代は関係無いのだな、としみじみ思う。そして、社会の構造のよな部分も、びっくりする程に様変わりしたり、天井と地面とがひっくり返ったりと云う訳でも無い。 桃子先生が東京と山の家とを頻繁に行き来しながら、山での共同生活を支えて居た頃の、都会の食料や経済の…

三月雑感

|縷々| ついこないだ開いたばかりの木蓮が、生成り色から茶色く萎れて散り始め、 それと入れ替わるよに、今度は枝ばかりだった桜の蕾が見る間にふっくらとし、 目に入る景色の全体が、淡く淡く薄桃色に霞がかかったみたいだ。 嗚呼。三月が、ふうっと緩んで居る。 ここのところずっと、不可抗力と云うのだろか。 何だかんだで間に挟まれたり、否応無しに関わらざるを得なかったり。 身動きの取れぬよな息苦しい日々が続いて、現状に苛々としながらも 只巻き込まれるままに、すっかりへたって疲弊し切って居…

日々は流るる

|縷々| 二月の末より三月に入ってからの暫く。 日々は遅々として、半分閉じかかった瞼に同じ 鈍重な歩みでもって、ちいとも進んだ心地がしない。 手の届くところで。手の届かぬところで。 失望だとか諍い事だとかが多々と在り、 それを知って悲しくなったり、遣る瀬無かったりする。 厄介事にシャツの裾を引っ張られ、慌てて振り払う。 そうこうして、気付いたら、ぬかるみの中に突っ立って居た。 ぬかるみに足を取られたまま、ぼんやりして居たら、 いつの間にか、鉢植えの河津桜が咲いて居た。 何だ。…

チョコレートの小箱

|縷々| 月に一度か二度の頻度で通って下さるお客様が居る。 ボブヘアーの小柄な女性で、雰囲気の印象的な方。 数年来通って下さって居るのだが、ひょんな経緯から話が弾み、 名前やお仕事を知ったのは、つい数か月前のことだ。 今までにも、お話やお名前を伺う機会は在ったかも知れないが、 何年か掛かって、双方の”縁”と”機”の丁度重なったのが 恐らくは、その日だったのだろ。不思議なものである。 今日の来店もいつもの時間帯、開店から少し経った頃。 いつものよに珈琲を頼まれ卓まで運んで持って…

きちり 清々

|縷々| 本日、仕事を納める。 年の瀬の佇まいの年々薄れゆく中、 いつにも増して、その世相を苦く感じながら。 けれども、せめて己の身の回りだけは、 決してそうならぬよしたいもの、と思う。 只、仕舞い方や支度、心得みたいなものを、 雑に扱わずに。大仰である必要は無い。 ささやかで構わぬから、きちりと守りたい。 猫らには、盆も暮れも正月も関係ないけれど、 座布団を干し、洗いたての毛布とネッカチーフを。 皆で清々とした心地で、年を送ろうね。

師走随想

|縷々| ここのところ燻って居た、モヤモヤやイガイガ。 何のことは無い。毎度お馴染みの不躾だとか、 齟齬だとか、失望だとか、苛立ち、そんなもの。 それがどうしたことだろ。師走も残り僅かの 今の頃となって、ひとつ、ふたつ、みっつ。 まるでご褒美みたいに、素敵な出来事が続いた。 そっと掌に包んでそのまま仕舞っておきたい、 ささやかで、けれども真っ直ぐで、確かなもの。 それは、年の瀬の忙しさが本格的となる前の、 未だ少しだけ穏やかさの漂う、この時期にこそ、 本当に、何と相応しいタイ…

センチメンタル青春ノイローゼ

|音| |縷々| 先月末に知った”ジェリーTeenage Fanclub脱退”の報。日の経つ毎にじわじわとボディブローのよに効いてきて、当初は強烈な一撃のお陰で良い塩梅に思考回路が麻痺して居たのが、次第に冷静になるに連れ、ジェリー喪失と云う受け入れ難い現実が重く圧し掛かり、遠く途方に暮れるのであった…。 そしてそんな折、来春の引っ越しに向けて、この部屋の膨大な量の片付けに取り掛かり始めて居るのだけれども、毎日少しずつ過去のエントリを整理する中で、実に所々で、常に彼らと共にあっ…

なりたくない

|本| |縷々| 銭湯の女神作者: 星野博美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/12メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る 私たちは確かに物質的に豊かになり、いろんな道具を手にした。道具は私たちの生活を便利にし、他者と関わらずに物事を遂行できる気楽さをもたらしてくれた。道具を手にしたら、それまでに必要だった膨大な時間と手間、つまりプロセスを省けるようになった。プロセスをはしょれるようになったということは、何かを学習…

六月随想

|縷々| ぽっと出来た休みに散髪へ行き、うんと短く切って貰った。 切った後で、やっぱり短過ぎたな、とも思ったけれど、 まあ良い。是で少しは気が晴れ軽くなるだろか。 閉塞感と云うのか、手詰まりと云うのか。 日々は相変わらず進んで居て、特に変化も無く、 体は日常生活も仕事も、いつも通りこなせては居るのに、 気持ち。つまり中身だけが本体から切り離されて、 追い付けずに。一歩二歩、遅れながら、 重たい何かを引き摺って居るよな、おかしな感覚。 世の中や人々と、自分。 ずっと、決して、埋…

私と春

|縷々| 春霞に覆われた山の輪郭がぼんやりと。 小学校の敷地をぐるりと囲む桜が満開で、 薄く白んだ花弁が四月の風に散って居る。 嗚呼、私は春が苦手だ。 満開の桜の中へ身を置くのも、やはり苦手だ。 むせかえるよに、一斉に隙間なく花を咲かせ、 吹雪の如くにとめどなく散り、 見上げれば高いところから、 分厚い白昼夢が覆いかぶさってくるよな、 もやもやと、むわっと息苦しいよな心地がして、 上気したよに気分が悪くなって、どうも駄目なのだ。 そもそも春と云う季節の様相も又、それと同じ気が…

春への支度

|縷々| |猫随想| 三月が連れてきた、春の嵐。 湿り気を含んだ春の匂いが、窓を開けた途端にぶわーっと。 我々ヒトは、あんまりにも急で戸惑ってしまうけれど、 猫たちは、少し前からちゃんと気付いて居たのだろ。 誘われるまま眠気へ身を委ね、かと云って 只流されるでも無く、自らのリズムで対して居る。 我々ヒトと云うのは、実に出来の悪いものだな。 よし。引っ張られて慌てることなく、一呼吸おいて、 徐々に動きながら、季節を迎える支度を整えてゆこう。 +++ 坊ちゃんらもお嬢も、健やかに…

Così è la vita.

|縷々| 新年は二日の仕事始めから、せっせせっせと働いて、 しかしながら、何やら充実だとか清々しさには遠く、 代わりに、腑に落ちぬよな心持ちと云うのか。 溜息まじりの虚脱感みたいなものを感じつつ、 不理解だとか齟齬だとかの、決して埋まらぬ溝に、 嗚呼。是も時代哉、と諦めにも似た苦さを想う。 擦り減りながら働いて得た、月曜の休み。 消耗したら、同じく補充せねばならぬと云うので、 何処へも出掛けることなく、掃除に洗濯、猫の世話。 こう云うときは、只動かず、静かに。是で良いのだ。 …

冬の中で

|縷々| |本| 今年は大好きな編み物ができずに居て、当初はそれがどうにも慣れず、 どうにも手持ち無沙汰で。是から続く長い冬をどうして過ごせば良いのかと、 暫くの間、少しの苛立ちまじりに戸惑って居たのだけれど、 ふと思い立って始めた動物のためのホリスティックケアの勉強が、 ことのほか面白くて、今年の冬はセーターを一着編む代わりに、資格が取れた。 そんな冬だった。 転がる香港に苔は生えない作者: 星野博美出版社/メーカー: 情報センター出版局発売日: 2000/04メディア: …

チャーリー・ブラウンと懐中しるこ

|縷々| |音| 郵便受けの郵便物を取りに表へ出ると、北からの風が びゅうと音をたてて、乾いた落ち葉を巻き上げて居た。 思わずカーディガンの前立てをぎゅっと掻き合わせて、 灰色の空の下。すっかり色寂しくなった山を見やる。 品性だとか思いやりだとか、そう云うものに 著しく欠けた人は何処にでも必ず居て、しかしながら 実際に目の当たりにしたり、実際に接するとなると、 気が遠くなって、暫し茫然自失の空白に彷徨ってしまう。 何故、私が?と考えてはいけない。 たまたま厄日であったのだ、と…

心の行方

|縷々| 近頃、本当に無欲になったな、と思う。 物欲と云うのか、私欲と云うのか。 あれが欲しいだとか、これが欲しいだとか。 あれがしたいだとか、これがしたいだとか。 どうしても。何としても。絶対に。 そんな風に思わなくなったら、不思議と余計な腹も立たず、 幾らか諦めが良くなって、何かがスコン、と抜けた気がする。 己一人しか満たせぬよな狭い欲よりも、もっと大切なものが在って。 自分のしたことが周りの役に立ったり、喜んで貰えたり。 それで自分自身も嬉しかったり、愉しかったり、良か…

八月随想

|縷々| 夏の印象の薄いまま、夏を見送る。 素っ頓狂な空模様に、慌しい夜具の足し引き。 八月を仕舞うと、九月をすっ飛ばして、 十月があっと云う間にやって来て、 そうして十月に入ると、もう年末が見えてくる。 感覚と云うのか、体内の暦と云うのか。 私の八月以降はいつも、そんな風だ。 ここ暫くは、野暮用も大事も急ぎも、 皆同じ線上に並んで、順に待って居るのを 只、手前から黙々と淡々と。 ぎゅっと集中して、取り組んで居た。 その間は、余計なことの割り込む隙が無いから、 シンプルで、規…

風に吹かれて

|縷々| 気忙しく、ささくれ立っただけの土曜日が残した土埃は、 未だ冷たい今日の北風に吹かれて、去った。 それと同じ風に吹かれて、素敵な調和がやって来て、 仕舞った後の店内に残されたのは、やわらかな尻尾の余韻。 こんな日曜日で終われて、良かった。

あわいにて

|縷々| 花冷え。薄曇り。風は強し。 白湯をちびちびと飲んで、ぐぐっと背伸びする。 久々の稽古へ向かう道すがら、農家の庭先。 花を終えつつある姿の良い梅の木の隣で、 寒緋桜がふっくらとした蕾を待たせて居る。 未だ少し寒々しい庭景色の中を、 丸々太った雄の茶トラが、悠々と横切る。 ちらり。こちらを一瞥した気がしたけれど、 くしゃみを二回して振り返ったら、もう居なかった。 三月の或る日。季節と季節のあわい。

ハレはハレ

|縷々| 年が明けてから日が経ち、徐々に日々が戻り、 しかしながら、正月が正月らしかったのかと云うと、 まったくもって、正月らしい佇まいなど希薄で、 元旦に見掛ける人の姿は、皆まるきりの普段着。 初詣へ向かう手にさえ、コンビニのビニル袋。 年始の御挨拶まわりも見掛なくなって久しい。 ”よそいき”と云うものが、忘れられつつある。 ”ハレ”と”ケ”を分けることも無くなりつつある。 尤も。 こうした事柄は今先程に始まったものでは無いし、 又、それを憂いたところで、どうともなるまい。…

針と糸と

|縷々| この冬は、久しぶりに編み針と毛糸を手にして居る。 最後はいつだったっけな、と記録を辿ったら、 実に一昨年の秋。随分と休んでしまったな。 杢調の灰がかった葡萄色のと、きれいな桑染色のと、 こないだ、袋売りの毛糸を安く手に入れたので、 セーターとカーディガンを、其々一着ずつ編みたい。 ずっと以前に編んだものは、あちこち汚したり、 ガス火で焦がしたり、引っ掛けて穴を開けたり。 すっかりよれて草臥れて、いよいよ引退である。 一旦は是らを処分しようとしたのだけれど、 ばらして…

二つの小包

|縷々| 今日、小包がふたつ届いた。 茶色い包みと、紺色の包みと。 送ってくれた人も、中身も全く違うけれど、 偶然同じ日に届けられた小包は、 どちらも嬉しい心遣いが詰まって居て、 じんわりと心があったかになった。 食べてしまうのが勿体無いよな、焼き菓子と。 小さい小さい可憐な花のペンダントと。 とても素敵で、心から嬉しくなって、 ペンダントを身に付けて、焼き菓子を頂いた。 私の毎日は、誰かから見たら平たくて小さくて、 決して変わり映えしないのかも知れないけれど、 ふとした折に…

仕合せの尺度

|縷々| 何をもって仕合せと云えるのか?は人其々だが、 私の場合なら、食う寝るに困らず、つましくとも 程々穏便に暮らせれば、それを仕合せと云っても 良いのじゃなかろかな、などと想って居る。 勿論、人間なんて欲をかけば切りが無いから、 何処で良しとするかは、その人次第であろう。 近頃、身辺に目立つ女性たち。 こう在るべきだとか、こう在らねばならぬだとか。 実際の、本来の姿よりも、己を良く見せよう、 大きく見せようと背伸びして、無理をして。 信じるものをころころと変え、過去を否定…

春の歩み

|縷々| 春雨と呼ぶのが躊躇われる、乱暴な雨に強い風。 しかしながら、夕刻を前に空は穏やかとなり、 靄をかけた山肌は、薄淡い水彩画の滲みを見せた。 未だ、日が暮れると肌寒いけれど、 一雨毎に、春は進むか。 庭先に、畑に、道端に、 水仙が咲き、菜花黄色く、桜は葉桜となり、 あたたかな色彩が段々と増えてゆく。

しんみり小屋倶楽部

|縷々| 超大型台風の通過に伴い、ここいらにも諸々の 警報や注意報が出されて戦々恐々となりつつも、 結果的には大雨程度で済み、ほっと胸を撫で下ろす。 夜が明けて、日々がいつも通りに営まれる。 ここでは何事も無かったかも知れぬが、 突然に日常の壊された土地と人々がある。 遣る瀬無いよな、複雑な想いが去来する。 |小屋仕事| 昼時に訪れた中高年主婦らの無神経さに、何だか一寸気が沈んだもので、午後の仕事の合間に抜け出して小屋へ行き、四隅に取り付けるコーナー板と、窓二つ分の化粧板の加…

毎日

|縷々| 毎日、毎日。 張り切ったり、気落ちしたり。 苛々したり、嬉しくなったり。 そっと心を殺したり、じんわり心に沁みたり。 そうやって一日が終わって、仕事を仕舞って、 或るときには、満ち足りた心持ちと共に、 或るときには、どっと押し寄せる疲れと共に、 家へ帰る。 毎日、毎日。 同じよでいて同じでない一日を、 今日も送り、また明日も。

お彼岸の花

|縷々| お彼岸の入りになると、Aちゃんにお願いして 出勤前に駅前の花屋さんで花を買って来て貰う。 この花屋さんは他所の店に比べたら小さくて、 数や種類を多く揃えて居る訳ではないのだけれど、 少数精鋭と云うのかしら。ちょっとめずらしいのや 気の効いたのを扱って居て、値段も良心的。 今年の花は、カモミールに藤色のスイートピー、 落ち着いた赤のガーベラと同じく小花のアスター。 Aちゃんとお店の人とで選んでくれたのだそうだ。 半分くらいに茎を切って西洋芥子の瓶に生け、 見慣れたアー…

のっぺりの淡々

|縷々| 日々がひたすら扁平に過ぎてゆく。 決して”無為”に過ごして居る訳じゃ無いけれど、 日々を淡々と只”こなして”居る、と云う感覚。 目の前の仕事を、役割を、日課を、淡々とこなす。 上ったり下ったりの、 そう云う起伏の無い、のっぺりとした日々だ。 「自分の人生を生きて居ない」 以前に投げかけられた その言葉の意味を、ずっと考えて居る。 自らが選んだ仕事への”責任”。 自らが引き受けた命への”責任”。 もしそれらを選択しなかったならば、 今とは全く違ったかも知れない、 自由…

<