|縷々|
二月の末より三月に入ってからの暫く。
日々は遅々として、半分閉じかかった瞼に同じ
鈍重な歩みでもって、ちいとも進んだ心地がしない。
手の届くところで。手の届かぬところで。
失望だとか諍い事だとかが多々と在り、
それを知って悲しくなったり、遣る瀬無かったりする。
厄介事にシャツの裾を引っ張られ、慌てて振り払う。
そうこうして、気付いたら、ぬかるみの中に突っ立って居た。
ぬかるみに足を取られたまま、ぼんやりして居たら、
いつの間にか、鉢植えの河津桜が咲いて居た。
何だ。日々はちゃんと流れ、動いて居たのだ。