双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

去る雨 残る雨

|日々| |本|


今日も今日とて雨が降り。
客席の配置替えしたのを、一夜明けてからしみじみ、
明るい中で改めて見てみると、何故だろか。
昨晩見たときよりもずっと、しっくりくる。
相変わらず雨は冷たく、降ると止むとを気まぐれに
繰り返しながら、時折お客さんを挟んで、午後は
のっぺり起伏無く、とつとつと過ぎてゆく。
文庫本など並べてしつらえた、新しい独り席に座り、
とっくりの襟首伸ばして、膝掛け掛けて。
たっぷり淹れた珈琲など頂きつつ、電球の下、
本の頁めくる。少しくぐもった鍵盤の音と音の合間で、
柱時計が規則正しくリズムを刻む。やわらかな秩序。
秋と冬の真ん中の気配。
鼻先をつっとすり抜けた。

[日曜日の一冊]

月と菓子パン (新潮文庫)

月と菓子パン (新潮文庫)

  • 作者:千, 石田
  • 発売日: 2007/07/30
  • メディア: 文庫

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