双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

滲んだ風景

|日々| |音|

今頃になって、また季節に騙された。
冷え冷えと細い雨、ひどく肌寒い日が続く。
忘れられ、放っぽり出された一日。
もうじき無くなりそな残りの灯油に火を灯し、
ストーブに寄りかかるよにして突っ伏すと、
何処からやってきたのか。境目の曖昧な眠気に
うつらうつら、引っ張られてしまう。窓越しの、
少しけぶった山並みは、薄い濃淡で描かれた水墨画
みたいにして、雨の向こう側にぼおっと浮かんで、
滲んで、それがいつか見たよな風景なものだから、
油断して居ると、吸い込まれて気が遠のいてゆく。
睡魔に逆らわず、諦めて暫し流れに委ねるうち、
それからどのくらいが経ったのだろ。ばさり。
読みかけの本の落っこちた音で、グイと引き戻された。

April

April


うたた寝と現の間。仄暗い午後に寄り添うよに。

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