双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

机上時空

|日々| |本|


夏祭りの初日だのに、さめざめと雨が降り、
何だか物寂しいよな土曜日。ポットに淹れた茶を
ぬるめにしたのを、少しずつ飲みながら、一日中
旅の本を読んで居た。未だ己の足の知らぬ土地は、
幾らでも在るから、こうして旅の本など読んで、
僅かに、行ったよな心持ちになって居るのは、
書斎の旅人にとっての、ささやかな至福。
中国の少数民族の女たち。目にも鮮やかな衣装と、
眼差しの力強さに、暫し、頁を操る手が止まる。
赤の鮮烈さ。大地の大きさ。
恐ろしくめまぐるしい変化と同列に存在する、
現在の中の過去。いつかの夢に見たよな、
あまりに美しい風景。路地裏の匂い。
雨降りの土曜日。飛行機に乗らずに、そこから
ひゅんと一瞬で、南イタリアの地へ飛んだ。

[本日の旅先]

TRANSIT(トランジット) 1号 ‾美的中国 (講談社MOOK)

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  • 作者:講談社
  • 発売日: 2008/04/26
  • メディア: ムック

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