双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

2008-01-01から1年間の記事一覧

坂の下の美容室

|散策| 先週の月曜日、電車小僧を連れての隣町散策の折。 一度も通ったことの無い路地散策で、実に素敵な 発見が在った。大通りから一本入っただけの通りは 静かで長閑で散策には丁度良い。やがて道は緩やかに 坂道を上り、いつの間にか住宅街へ差掛かると、…

煙草を一本

|徒然| もうかれこれ二十年来、我が家と繋がりの在るAさん。御歳六十五歳、個人で営む電気関係の会社の社長さんで、時折の人生訓話なども面白可笑しく、説教くささがちいとも無くて、どこかスコンと抜けたよな人柄が飄々として居る人。そんな風だから普段店…

沁む

|雑記| 方々で見掛けては貰ってくる、美術展のチラシなど。 興味の在る人のため、店の入り口脇に置いておくの だけれど、気が付けば、期間の過ぎたものが幾つか。 紙も印刷も上質で大層美しいものだから、何か良い 使い道は無いものかと考えて、試し、封筒な…

デデデデデデデデンシャ

|小僧先生| 散歩に園芸*1、それに電車。 何れも別段、私が無理強いして教えたものでは無く、 二つになる甥っ子が、自発的に興味を示したのだけれど、 子供は大概が乗り物好き、とは云っても、こと電車に 関しては、それはそれは只ならぬ入れ込み様で。 ジョ…

蹴球雑記

|蹴球| EURO2008 準々決勝 イタリア VS スペインは 結局、 PK まで縺れ込んだ末、スペインが勝利。 「だから〜、ピッポ召集しておけば良かったのに!」 と、ちゃぶ台を引っ叩いた人は沢山居ったろう。 今回のスペインは、沈没無敵艦隊、の汚名返上の 好機を…

珈琲少年

|日々| 最近になって良く来る、ひょろりの中学生少年。 初めの頃は、喫茶好きの母親と一緒に来て居たのだが、 前回は同級生の友人を伴って。そして本日は独りで。 少年は毎回必ず、シナモントーストと珈琲を注文する。 近頃は珈琲の飲めない大人の少なくない…

ワタシと敦子とアツコの旅

|徒然| |本| はじめのきっかけは、何処かの雑誌だか新聞だか、七年ほど前に偶然見掛けた新刊紹介だった。『須賀敦子のミラノ』 。それほど詳しい紹介でも無かったし、確か小さな記事であったと記憶して居るのだけれど、何かに急きたてられるよに、その日の内…

寝しなに想ふ

|徒然| 近頃しみじみ想う。歳を重ねることはおもしろい。 老いるとか老けるとか。そう云うことじゃない。 歳を重ねるごとに、浅かった思慮は深くなり、 答えを待つことができるよになる。衝動に流されず、 物事の受け止め方が分かるよになる。確かに、 若さ…

初夏の色

|日々| |音| ゆらりとした手触りの朝から始まった、日曜日。 嗚呼、今日もこのまま終わるのかしら。などと 惚けて居たら、午後より次第に人の足が向く。 なるほど。何事もお天気と懐次第と云う訳か。 近頃に顕著な、こうした日々の気紛れに右往左往も 慣れて…

滲んだ風景

|日々| |音| 今頃になって、また季節に騙された。 冷え冷えと細い雨、ひどく肌寒い日が続く。 忘れられ、放っぽり出された一日。 もうじき無くなりそな残りの灯油に火を灯し、 ストーブに寄りかかるよにして突っ伏すと、 何処からやってきたのか。境目の曖昧…

いただきます ごちそうさま

|暮らし| |本| 知人の H さんが、午後、山程の野菜を届けてくれた。 畑からおろぬいてきた大根葉に、ころんと丸こい蕪など。 虫食いも愛嬌と、大根の葉はばりっとみずみずしい。 早速に台所へと運び込み、下準備に取り掛かる。 水洗いした大根葉は、根元のち…

三十路の箪笥の中身考

|雑記| |モノ| 三十路を過ぎると、それまでとは似合う服が変わってくると云うのを、身をもって感じやしないだろか。ことTシャツの類がそうで、若い頃に好んで着て居た比較的襟のつまったクルーネックに、微妙な違和感を覚えるよになる。何が変わったのか。顔…

パガニーニの主題による協奏曲 第18変奏曲

|回想| 昨晩の夜も更けた頃。靴下の整理ついでだからと、 また性懲りも無く掃除など始めたら、赤茶けて すっかり錆の出た煎餅の缶を見付けた。 確かここには、大昔のカセットテープが入って居た のではなかったかしらと、難儀しながら蓋を開ける。 ところが…

木曜日の隙間からこぼれ落ちる一粒

|縷々| |音| 淡々と とつとつと こぽこぽと しゅうしゅうと パラパラと トントンと かたかたと かりかりと 気忙しさの輪から ぽんとはじき出されて こぼれ落ちて 残されたのは 日々の感触 日常の音たち [木曜日 隙間の一枚] Sonアーティスト: Juana Molina出…

霧の向うに

|日々| 雨上りの清々しさは、山裾の春霞の中に浮かぶよな 葉桜や新緑の黄緑と、常緑の色濃い緑とが溶け込んで、 胸のすく爽やかな空気。鼻から深々と胸一杯吸い込む。 先程までの雨粒を纏った、蕾と葉はきらきらと。 人も車もひっそり静か。ほんの束の間の忙…

三十路の憂い

|雑記| 先日出席した結婚披露宴にて、昨今の礼装事情を深々と考えさせられる光景に、不本意ながら遭遇した。会場内では、美味しい料理に夢中だったものだから(笑)、離れた席にさしたる注意も払わずに居ったのだけれど、中座して向った御婦人用の化粧室で、…

白と黒の詩

|雑記| 先日の上京の折に、写美の『ジャコメッリ展』 へ。 初めて触れる直の感触は意外にもざらりと粗く、 白と黒の境目の輪郭に、配分にじっと目を凝らす。 大地にも人間にも、そして時間にも、深々と 皺が刻まれて、その中に切り取られた一瞬から、 静かに…

再会

|徒然| Dと最後に会ってから、もう十年以上の歳月が経った。その間は頻繁に連絡を取り合って居た訳でも、互いの近況を詳しく知って居た訳でも無いけれど、それでも何故だか、ちいとも疎遠と感じたことは無くて、いつも何処かで繋がって居るよな気がして。ア…

季節の向こうがわ

|庭仕事| 春を迎えても尚、寒さ和らぐ気配は希薄なままで、 季節に対して懐疑的にならざるを得ぬよな、 気紛れの日ばかりがずっと続いて居たけれど、 うっかりと寝過ごしかけた程、今日の天気は春らしい やわらかさと、清々しさに満ちて、芽吹いた鉢植えの …

苦い土曜日

|日々| 雨こそ止んだものの、一夜明けても風は変わらず。 空模様もぐずぐずと不安定で、薄ら寒い。 かと云って、二日続けて諦める訳にもゆかず、 煮え切らぬよな心持ちで土曜日を過ごす。 玉葱を刻みながら、恵比寿の写真美術館にて 開催中の、ジャコメッリ…

暴れる春

|雑記| 萎える。 こんな酷い天気の前では、全てが萎えてゆく。 轟音はただ煩わしいだけで、努めて抑えた神経に 障る。ガリガリと引っ掻かれて居るみたいに。 鈍い気疲れが押し寄せて、思考が止まりかける。 こんな日は、すっぱりと、一日を諦めるに限ろう。 …

山つつじとコロッケパン

|旅| 月曜日の朝。随分と早くに目が覚めたものだから、 ほんの思い付きで、ひょいと出掛けることにした。 春の18きっぷの、恐らく最後の使い道。 通勤時間帯の下り電車に乗り込んで、会津若松。 無計画のぶらり旅も、それはそれ。また愉しいもの。 常磐線…

バス停のお手本

|着物| 先日、バス停で見掛けた年配の女性。 歳の頃七十代後半と云ったところの、 ちゃきっとした風情の小柄なお婆さん。 その、着物姿が何とも云えず良かった。 着込んで馴染んだ風合いの着物は、恐らく 結城紬だろか。鼠色がかった藤色の格子柄で、 襟元も…

盛岡旅日記(5)

|旅| [三日目:帰路] 朝8時起床。外はどんより曇り空。天気予報によれば、昼前には雨が降り出すとのこと。午後1時台の列車で発つ予定で居たけれど、少し切り上げた午前11時ので発つことにして、早速時刻表を広げ、乗り継ぎの練り直し。小牛田での乗り換…

盛岡旅日記(4)

|旅| [二日目のつづき] 上の橋〜下の橋 行ったり来たり 『福田パン』 を出た後、そろそろお腹も減って来たことだし・・・と、大通を一路てくてく、上の橋の方へ。途中で信号を待って居たらば、もひとつ先の辻角に、先程 『光原社』 で見掛けた青年の後姿。自…

盛岡旅日記(3)

|旅| [二日目:盛岡散策] 暖房のせいか夜中に二〜三度目が覚め、その都度、冷蔵庫から水を取り出してゴクリ飲み、眠りに戻る。朝は八時きっかり、目覚ましの鳴るよりも先に起床し、シャワーを浴びて身支度。正月でも無ければ、普段は朝風呂などしないので、…

嫁ぐひとへ

|本| Sちゃん 三人きょうだいの末っ子で、皆に構われてピーピー泣きながらも、 負けん気が強くて、いちばんしっかり者だったあなたが、 気が付けばもう、お嫁にゆく年頃になったのですね。 私にとっては、従妹と云うよりも七つ下の妹のよで、 かつてのあの、…

盛岡旅日記(2)

|旅| [一日目の続き:盛岡着] 間も無く盛岡、とのアナウンスを眠りの遠くに聞ききながら、ゆっくり瞼を開けて、一度ぐっと大きな伸びをすると、鼠色した雨空の中に盛岡が近付く。午後4時半、列車は終点盛岡へ到着。途中花巻に立寄ったにせよ、今朝寝床を出…

盛岡旅日記(1)

|旅| [一日目:出立〜花巻] 朝五時台の列車に乗るため、家から駅までの道のりを歩く。未だ明け始めの空は、雨の気配を含んだ雲がうっすらと覆う。二泊分の荷物を小さくまとめたバックパックは軽く、キャンバス地の上着の一番上までボタンを留める。しんと静…

主人の帰還

|日々| 二泊三日の旅路より元在る場所へと戻って、 一夜の明けた木曜日。ぼんやりするよか、成すべき すべきことが朝から沢山在れど、すいすいすいと 仕事が運ぶ、運ぶ。自分でも意外な程にすんなりと、 見慣れた日常のペースに戻って居るのが、何処か 当て…

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