双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

寝しなに想ふ

|徒然|


近頃しみじみ想う。歳を重ねることはおもしろい。
老いるとか老けるとか。そう云うことじゃない。
歳を重ねるごとに、浅かった思慮は深くなり、
答えを待つことができるよになる。衝動に流されず、
物事の受け止め方が分かるよになる。確かに、
若さは素晴らしいけれど、己の未熟さや愚かさを、
無防備に露呈してしまう危うさを、常に伴って居る。
私は若さに固執はしないし、若さを取り戻そうとは想わない。
かと云って、今すぐ老成したいとも想わない。ただ、一年一年。
一つずつ、しっかり歳を重ねてゆきたい。その度ごとに、
思慮はまたひとつ深くなり、物事をまたひとつ知り、
も少し待てるよになる。人から、丸くなったと云われても、
けれども心根は鈍らぬよに、ちゃんと研ぎ澄まして居たい。
過ぎたことは追わず。過ちは先の教訓と考えられるよに。
その内、髪に白いものがちらと混じり始めても、恐らく
染めたりしないだろうし、皺隠しの厚化粧もしないだろ。
そうやって一つずつ、焦らずゆっくり、順々に受け入れて、
ふと気付いたときに、案外良い歳のとり方じゃないか。
などと想えたら、それで良いよな気がして居る。

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