双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

2008-01-01から1年間の記事一覧

香る

|日々| もわんと生温い、調子外れな陽気が昨日より続き、 秋晴れと呼ぶには、些かの違和感も在れど、 折角のお天気であるから、シーツなど大物の類も 片っ端から洗濯しては、バサバサと干す。 十月に入ってからの風には、金木犀が香り、 せっけんの清々しさ…

珈琲少年予備軍

|日々| 数日前のこと。近くの小学校が創立記念日で 休校だったらしく、小学生の男子が三人。 おじいちゃんと思しき男性と一緒にやって来た。 その内の一人は、ついこの間の日曜に、母親や 姉らと来店した少年である。おじいちゃん曰く、 どうしても行きたい…

手持ち無沙汰

|モノ| 少し前の出先で、瀟洒な雑貨店へ立ち寄った折、 香りのついたろうそくを二つ、買い求めた。 クチナシのと、ユーカリとハッカのと。 店に足を踏みいれると、香りはふんわりと満ち、 するすると引き寄せられるよにして、辿り着いた ろうそくの棚の前に…

土曜閑話

|雑記| 本日の 『人生案内』 は、いやはや。久々のヒットであった。 相談者は、小説家志望の二十代後半・家事手伝い女性。 「将来の進路」 について相談したいとのこと。以下抜粋。 私は幼い頃から本が好き。人間に興味があり、考え、分析することも大好きで…

野良、再び

|猫随想| 昼をいくらかまわった頃、また裏手の方から仔猫の声。 ちょっくらその後の様子でも・・・と、見に行くと、 軒下でがさごそやって居たのは、先日の仔猫では無く、 また別の仔猫であった。良く似て居るので兄弟なの だろうけれど、毛の色柄が少しだけ…

野良

|猫随想| 午後。店の裏手にあたる、無人の貸家の玄関前に、 親子と思しき、猫二匹の姿を見掛けた。 丁度ひと月前だったろか。仔猫の鳴き声が夜通し 聞こえてきたことが在って、それがあまりに 心細くて切ないものだから、何とも云えず 胸の締め付けられるよ…

父と娘

|徒然| |回想| 小学二年生の頃だったろか。父が留守だと云うので、母と私、弟の三人で、母の実家に出掛けて夕飯を食べ、八時を過ぎた頃家に帰って来ると、留守の筈の家の中には明かりが灯り、父が台所に立って居る。出掛ける予定だったが、取り止めになった…

母と娘

|徒然| 近年 「友達親子(母娘)」 と云うのを耳にすることが多い。文字通り、友達のよな関係の母と娘を指しての言葉である。こうした母親と娘は互いを 「ちゃん」 付けの名前で呼び合ったり、洋服を共有したりもするのだと云うが、はて。これをどう考えたも…

再発性、或いは、遅発性青春ノイローゼ

|音| 満足できるかなアーティスト: 遠藤賢司出版社/メーカー: ポリドール発売日: 1994/06/01メディア: CD購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (31件) を見るBallad of Easy Rider (Exp)アーティスト: Byrds出版社/メーカー: Sony発売日: 1997/03/2…

ちくり

|縷々| |本| 蟋蟀の鳴く声。夜も涼しくなると、窓の外から。 知らぬ間に重なって居た、憂いと煩いの澱。 ぼんやりの夜の掌から、不意に差し出されて、 何処かがちくりとする。鈍く広がる。 気付いて居なかった訳ではない。 気付かぬふりをして居ただけ、か。…

化粧

|雑記| 世の女性方は大体において、化粧品など、美容に 関わる品々に重きを割いて居ることと存知る。 かく云う私はと云えば、化粧品の類に手間もお金も 殆ど割かぬので、同世代の身近な女性らの美容事情を 知るにつけ、そっ、そんなに?と驚くばかりだ。 そ…

格好良いとはこう云うことさ

|雑記| |本| 今月の NHK 『私のこだわり人物伝』 は、伊丹十三。 伊丹氏と聞いてどの職業を思い浮かべるかは、 それこそ人其々かと想うが、やはり映画監督 としてのキャリアの印象が強いだろか。 私個人で云えば、俳優としての伊丹氏は、連続ドラマ だった頃…

言葉の舟を漕ぐ

|縷々| 何処かの街の広場に沿った回廊。ぐるりの柱に もたれるのは、鳶色の髪の少女だろか。少年だろか。 私の視線は、俯瞰となって注がれて居り、 ああ、これは夢なのだな。と知る。 未だここは、夢と現の境目に近い。 枕に埋めた頬の上側に、ふわりとした…

|映画| ソクーロフ 『ファザー、サン』 観る。 うすぼんやりとあたたかい蜂蜜色の鈍い光は、 人知れず静かに 「発酵」 しながら、瞼を通して とくとくと、体内に流れ込んで来る。 ゆっくり。静かに。穏やかに。そして深い。 時代も場所も背景も、曖昧なまま…

食をめぐる冒険

|本| サウンド・バイツ―フランツ・フェルディナンドの世界グルメツアー作者:アレックス カプラノス発売日: 2008/05/01メディア: 単行本 訪れたその土地で、その土地の普段の料理を、その土地の市井の人々に混じって食す。至極当たり前のことのよで、実は案外…

どっどど どどうど どどうど どどう

|日々| ごうごうと。窓枠の僅かな隙間から風の音だけが 忍び込み、荒々しい、唸るよな音に、夜は大きく 揺さぶられる。今日の夕刻。外へ出ると 気配は不意にやって来て、「あ。」 温度の変わった瞬間を、確かに感じた。 薄く伸びた雲が、早回しのよにして、…

オランダ坂に重たい穴があきます

|猫随想| 長時間の冷房にさらされ続けて、鈍いだるさに纏わり つかれた体を、湯船に湯を張ったところへ落ち着ける。 ついシャワーの手軽さを選びそうになるが、やはり 一日の終いには、きちり風呂に浸かるよにしないと、 疲れが抜けぬばかりか、どうも調子が…

In the mood for love

|映画| 花様年華 [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2004/11/25メディア: DVD クリック: 40回この商品を含むブログ (63件) を見る王 家衛の映画では 『ブエノスアイレス』 の次に好きだ。 お家芸の前衛的な演出は封印されて、ただ淡々と、 同じ境遇に隣り合…

想ひ出写眞館(2)

|写眞館| |旅| [桐生篇 : 2008年3月17日] 両毛線。日だまりの車窓。 路地裏にて。 立派な鰻屋さん。お休みでした。 山の上の動物園と遊園地。 誰も居ない教会。ひっそり。 また今度。 ■上州ぶらり旅(1) https://hobbiton.hatenadiary.jp/entry/20080…

想ひ出写眞館(1)

|写眞館| |散策| [月曜阿房列車篇] 車両いろいろ。 阿字ヶ浦駅。 旧い車内の佇まい。のんびり走るのです。 那珂湊駅。 また今度。 ■月曜阿房列車 https://hobbiton.hatenadiary.jp/entry/20080811

月曜阿房列車

|小僧先生| |散策| [ひたちなか海浜鉄道湊腺阿房列車] 湊腺に乗ろうと想う。湊線は片道三十分程度の小さな路線で、気軽な阿房列車を仕立てるには丁度お誂え向きかと考えた。二歳と少しになる、弟の甥であるところの電車小僧氏の付き添い、と云うお役をこれ役…

阿房列車前夜

|雑記| 明くる月曜日。甥っ子である電車小僧氏と連れ立って、 ローカル阿房列車を仕立てることと相成った。 ひたちなか海浜鉄道、とその名を新たにした湊腺は、 JR勝田駅より出立して、終着の阿字ヶ浦駅までは片道 三十分程の、実にこじんまりした路線なのだ…

ぬるい茶を飲む

|音| 間延びした土曜日の昼下がり。 麻紐に沿わせた変化朝顔の細い蔓の先が、 寄る辺を探して、ふらと風に揺れて居る。 ここ数日の残暑から暫し離れた、爽やかな夏の風。 盆の入りを前にしてのことだろか。やけに静かな 様相の一日の中に、薄い眠気がとろり…

机上時空

|日々| |本| 夏祭りの初日だのに、さめざめと雨が降り、 何だか物寂しいよな土曜日。ポットに淹れた茶を ぬるめにしたのを、少しずつ飲みながら、一日中 旅の本を読んで居た。未だ己の足の知らぬ土地は、 幾らでも在るから、こうして旅の本など読んで、 僅か…

訪問者

|縷々| 秋や冬、寒い季節の甘やかな感傷とも違う。 夏に感じるそれは、重たい湿り気を含んだ、 鬱々とした虚無に似て、寝苦しい寝台の中で 鈍重に纏わりつき、なかなか解放してはくれぬ。 そんなとき、私の志は、ひどく脆いよに想われる。 確かに、己の歩み…

薔薇の乙女殺人事件(時効)

|庭仕事| 「緑の指」 を備えて居る訳では、全く無いのだが、 志半ばにして草花を枯らした記憶は、然程無い筈。 だが、まことに不本意な例外がひとつ。薔薇である。 心ときめかせ手に入れた、乙女の如き薔薇たち。 それが、丹精込めて世話をする程、愛情を注…

緑の指と羊の毛

|本| |庭仕事| ku:nel (クウネル) 2008年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2008/07/19メディア: 雑誌 クリック: 22回この商品を含むブログ (35件) を見る英米園芸界の二大頑固バアさん*1、ローズマリーとターシャの居なくなった現在。…

コドモ自由賛歌

|雑記| 幼馴染みの同級生に小学生の男の子が二人居るのだが、常々の話を聞くにつけ、この五年生の長男坊が実に面白い。*1 児童総平均化計画の今時に在って、大層珍しいよな、すこぶるユニイクな子。三度の飯より本が好きな本の虫で、大人も舌を巻く、ああ云…

げつようびのたいふうのやすみのひ

|回想| 1ねん3くみ ほびのほびこ きのうのたいふうはすごかったですね!あさがっこうにいったら、さかのしたのところにみつきくんのおかあさんがわんしょうをつけてたっていて 「きょうはたいふうだからやすみよ!」 というので、わたしたちはいえにかえり…

豆まきしゅう会

|回想| 2年3組 ホビ野ホビ子ダンボールをいっぱいくみ立てて、まっかなおにが出てきました。やさしい顔のおにです。つくった人の心がおにの顔にうかび出ているみたいでした。 わたしは、おともだちに、マスをつくってあげてました。おのりをペタペタはった…

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