双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

コドモ自由賛歌

|雑記|


幼馴染みの同級生に小学生の男の子が二人居るのだが、常々の話を聞くにつけ、この五年生の長男坊が実に面白い。*1
児童総平均化計画の今時に在って、大層珍しいよな、すこぶるユニイクな子。三度の飯より本が好きな本の虫で、大人も舌を巻く、ああ云えばこう云うの口達者。只今、四字熟語にえらく御執心。読む本が無い時には、字引を片っ端から読み耽り、近頃では読むだけに飽き足らず、自分であれこれ工夫して 「○○辞典」 なんてものも拵えて居て、学校で流行りのカードゲームも、カードが無ければ自分で拵えてしまう。忘れ物はしょっちゅうで、しかしながら、ちいとも焦る素振り無く、それどころか、かえって堂々として居る、と云うマイペエスぶり。先日何気無く、長男坊の机の上を見ると 『狙われたファースト』*2 と表紙に書かれた、自作の小説と思しきノートが在ったのだとか。また、この間の学級会では十六回も挙手して、一番だった!と胸を張って云うので、呆れて、ちなみに二番手は何回だったのか問うたところ 「八回」 との答えが返って来たらしい。挙手したからとて、毎回指される訳で無し。ところが長男坊曰く、云いたいことや提案が沢山在るから、指されるまで何度でも手を挙げるのだ、と云う。
授業中における、既成の枠を飛び越えた発言や質問。興味の在る科目には、並々ならぬ意欲を見せる反面、そうで無い科目には、一切の興味を示さない。等など、常に担任教師の手を焼かせて居る、と云うこの少年。或る日、宿題の作文で、将来の夢について書く機会の在った折。何になりたいのか訊ねると 「お母さんも分かってると想うけど、僕、会社に勤めるつもりは無いよ。だって全然向いてないもん」と云って暫し考えた後 「そうなると、農業か漁業しかないんだよなぁ」 と答える長男坊。「え?駄目だよ。だってあんた、早起きできないでしょ?農業も漁業も、朝が物凄く早いんだよ」 と母。「うぅ。道が断たれた…」 長男坊、がっくり項垂れる(笑)。が、次の瞬間には、けろっとした顔で 「あ。それが駄目でも、また違うの考えよっと」 母親は、今からこんな調子では、先々が心配だと嘆く。はて。何処かでこれに似たよな子が、居なかったかしら?そうだ、まるで子供時代の私じゃないか(笑)。それを彼女に云ったら、そう云われれば…と苦笑い。
皆と同じで無くとも良い。同じで在る必要など無いのだよ。得意なこと、興味を持ったことを、自分の中で育みたまえ。はみ出してしまっても結構。どんどんはみ出したら良い。型にはまらぬ、自由な心の、大きな人間になって欲しい。この様な時代だからこそ、心底そんな風にと願って止まない。まぁ、当の母親にしてみりゃ心配だろうが、大丈夫。ほら。ここに、大きくなったかつての問題児が、何とかかんとか、まっとうに生きて居るでしょ。って、もしや、私を見て居るからこそ、余計に心配なのかも(苦笑)。

*1:三年生の次男坊は、全くこれに正反対の気質なのだけれど、この子もまた違った形でユニイクな子。

*2:野球ミステリ、か何か(笑)?内容が物凄〜く気になるなぁ。

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