|縷々| |本|
蟋蟀の鳴く声。夜も涼しくなると、窓の外から。
知らぬ間に重なって居た、憂いと煩いの澱。
ぼんやりの夜の掌から、不意に差し出されて、
何処かがちくりとする。鈍く広がる。
気付いて居なかった訳ではない。
気付かぬふりをして居ただけ、か。
ぬるい茶を一口飲んで、独り言つ。
まぁ、良いさ。悪足掻きは止そう。
待つことでしか、成せぬときもある。
おっ、こんなの出てた。
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: ムック
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