双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

野良、再び

|猫随想|


昼をいくらかまわった頃、また裏手の方から仔猫の声。
ちょっくらその後の様子でも・・・と、見に行くと、
軒下でがさごそやって居たのは、先日の仔猫では無く、
また別の仔猫であった。良く似て居るので兄弟なの
だろうけれど、毛の色柄が少しだけ違う。
おや?近寄って見てみれば、この子もまた例の如く、
お目々がひっついてしまって居るではないか。
あれまぁ。お前たち兄弟は、一体…。
一匹目程酷くは無かったものだから、然程の手間は
掛からなかったものの、今度の子はむずがるので、
やりづらくて困る。一通り拭いてやった後で、
今日だけだぞと、軒下の隅へ牛乳を置いてくる。
どのみち、見て居れば飲まぬのだろうし、そのまま
店へと戻り、昨日拵えた彼岸のおはぎなぞ食べて、
小三時のお茶。数時間後に皿を取りに行けば、何々。
皿の底まで舐め尽くしたよになって、牛乳はきれいに
無くなって居た。それにしても。この家の近辺に
一家のねぐらの在るのは、先ず間違いは無さそなのだが、
親兄弟の揃って居るのは、一度も見掛けたことが無い。
まぁ、他所の家庭の事情を勘ぐったり、あれこれ
詮索するのも、不躾と云えよう。それに、だ。
野良には野良の人生。一旦線引きしたら、無闇に踏み込まぬ。
何しろ、情が移って困るのは、こっちなのだからして。

<