双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

言葉の舟を漕ぐ

|縷々|

何処かの街の広場に沿った回廊。ぐるりの柱に
もたれるのは、鳶色の髪の少女だろか。少年だろか。
私の視線は、俯瞰となって注がれて居り、
ああ、これは夢なのだな。と知る。
未だここは、夢と現の境目に近い。
枕に埋めた頬の上側に、ふわりとした尻尾の
微かに触れる感覚が在り、それは間も無く
夜具で覆ったふくらはぎに、とすんと身を横たえた。
現の遠くに、乱暴な雨音を聞きながら、
瞼の重さに抗わず、眠りを受け入れると、
意識は朧に、深いところへ、ゆっくり沈んだ。
小さく開けた窓から、金属の匂いが忍び込む。

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