双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

暴れる春

|雑記|

萎える。
こんな酷い天気の前では、全てが萎えてゆく。
轟音はただ煩わしいだけで、努めて抑えた神経に
障る。ガリガリと引っ掻かれて居るみたいに。
鈍い気疲れが押し寄せて、思考が止まりかける。
こんな日は、すっぱりと、一日を諦めるに限ろう。
早仕舞いを決め、それまで惚けるだけだった
今日の時間の残りを、有意義に使おうと考える。
頂きものの珈琲を淹れて、本棚から本を二冊。
ナポリ。クレモナ。トラステヴェレ。
旬の野菜の鮮烈な匂い。草を食む山羊。糸杉の在る風景。
猥雑と静けさの混沌。猫たち。櫂の水打つ音。
未知の旅情に想い馳せつつ、暴れる春をやり過ごす。

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