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三十路を過ぎると、それまでとは似合う服が変わってくると云うのを、身をもって感じやしないだろか。ことTシャツの類がそうで、若い頃に好んで着て居た比較的襟のつまったクルーネックに、微妙な違和感を覚えるよになる。何が変わったのか。顔つきか。体型か。
三十路を過ぎたとは云っても、たかだか数年のうちに、二十代の頃と比べて、何かが劇的に変わったと云うよな自覚は特に無いのだけれど、実際に着てみれば、何やらしっくりせぬのは事実で、ジーンズにしてもシャツにしても、形や色など、少しずつではあるが確実に、微妙な按配に違ってくるのだ。そうと分かって居りながらも、はて。何をどう入れ換えてゆけば良いのかは、案外難しい。
先日、思い立って箪笥の抽斗の中身を整理しながら、或る考えに辿り着く。何が必要で、何が要らぬのか、手持ちの服をきちんと把握して、その中で足りぬもの、在ったら良いと思うものを、形や色等も含めて季節毎、メモなどに書き出しておいたなら、年齢に合ったものは、自ずと見えてくるのではなかろか、と。
Tシャツなら、襟の詰まったものより少し広めのもの。ズボンなら、細身のものより少し太めのもの。
手持ちの色味が地味ばかりなら、差し色を買い足して。流行に関係無く、大人が長く着られるもの。
安っぽく見えず、段々と風合いの出るもの・・・等など。こうしておけば、必要以外のものを買ったり、失敗に悔むこともなくなるし、ものを持ち過ぎない生活に繋がる。
そう云えば近頃、シャツを良く着るよになった。若い頃には、どうもシャツと云うのが苦手で、着慣れないから、余計に似合わないよに思えて、ひどく敬遠して居たのが、ようやくここ数年の間で、本来シャツと云うものの持つ、懐の深さ。軽やかな心地良さに、気付ける歳頃となったからなのかも知れぬなぁ、などと思う。白いシャツの次は、ギンガムの格子のが良い。
[春夏のメモ書きより]
＊コットンパンツ ： 濃い目のベージュ 少し太めでざらっとしたもの
＊長袖のTシャツ ： 重ね着にも使えるよに 襟の少し広いもの 無地
＊ギンガムのシャツ ： 一枚は青 一枚は明るい色味のもの
＊似合わなくなってしまったものは、誰か似合う人、着てくれる人に。その他は思い切って処分。
