双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

デデデデデデデデンシャ

|小僧先生|


散歩に園芸*1、それに電車。
何れも別段、私が無理強いして教えたものでは無く、
二つになる甥っ子が、自発的に興味を示したのだけれど、
子供は大概が乗り物好き、とは云っても、こと電車に
関しては、それはそれは只ならぬ入れ込み様で。
ジョーバンセン。スーパーヒタチ。トッキュウ。
カモツ。シャショーサン。デゴイチ。センロ。等など。
暇さえあれば電車語録を口にして、駅まで出掛けては
目を輝かせて興奮して居るため、当然、弟からは
「姉ちゃんがまた、電車教えたんだろ!」と疑いの
目を向けられたりと、全く、濡れ衣も甚だしい(苦笑)。
私は所謂、世間で云うところの鉄道愛好家、と云うのでは
無いにしろ、電車を見たり、電車に乗ったり、電車を使った
旅に出るのが好きだから*2、学生の頃は18きっぷを買い求め、
ローカル腺に乗っての電車旅が、密かな愉しみだったものだ。
ところが仕事についてからは、そんな時間もままならず、
たまの休み、東京などへ出掛ける程度に。それだって、
常磐線が好きでは無いのと(笑)、料金のお得さとで
専ら、高速バスを利用する機会が多くなり、長らく心の
隅っこに仕舞ってあった、自身の電車心と向き合うべく
この春、ようやく重たい腰を上げて、再び18きっぷを
手にしたのである。だもので、弟の疑念も無理は無い。
本日 『東京人』 のバックナンバー、交通博物館特集の号を
甥っ子に見せてやって居ったところ、案の定行きたいと云う。
小学校に上がるか上がらぬかの頃。当時は未だ独身で、
東京の建設会社のサラリーマンだったS叔父に、弟と二人、
交通博物館へ連れて行って貰ったのを思い起こし、
ふと、懐かしいよな、あったかな心持ちになった。
交通博物館はもう無くなってしまったから、この子を
連れてゆくとすれば、埼玉に移転した鉄道博物館だろうが、
二歳の子供には、はて。どうしたものか?ここはひとつ、
真岡鉄道辺りで誤魔化すか…などと話して居た矢先。
母の口から、思いもかけぬ言葉が飛び出した。
「あれ?お父さん、そこに行くって云ってたけど。」
聞けば何でも、商工会のさいたま市視察旅行が十月頃に
在るとかで、幾つかの施設を見て回るスケジュールの中に、
どう云った訳だか、鉄道博物館が含まれて居るらしい。
おお!土産には何を頼もうかしら?なんて、大の大人が(笑)。
甥っ子には、次の月曜日、一緒に電車に乗って
隣街まで出掛ようね、と約束をして話の鉾先を逸らす。
程無く。後ろで洗いものなどして居ると、
何処ぞより、鼻歌らしきが聞こえてくる。
「デデデデデデデ デ〜ンシャ〜♪ドコタ〜ン、ドコタ〜ン♪*3
ふと見ると奴さん 「JR ローカル腺の旅」 のパンフレット
なんぞ片手に、すっかりご満悦と云った風である。

*1:機関車型の木製プランタにて、バジリコを栽培中。渋い。

*2:時刻表を読むだけの旅も好き。

*3:普通、電車と言えば「ガタンゴトン」かと思うのだが、彼の場合はどうも「ドコタンドコタン」らしい(笑)。

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