双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

2007-01-01から1年間の記事一覧

過去に在る街

|雑記| 昨夜見た夢の中で、私はと或る街に滞在して居た。何某とか云う学者先生の調査に、助手として帯同して来たのだけれど、調査の詳細も知らず、鞄持ち以外にこれと云った仕事も無い。これも役得かしらと考えて、宿の辺りを散策してみるが、その街は地方都…

空箱夜間飛行

|日々| |音| 秋は何処かに隠れてしまったのだろか。 輪切りにして面取りした大根を、半分からすぱんと、 真っ二つに切ったよな月を見上げて居ると、 鈍い疲れが降りてくる。思考がが止まる。 あんまり気忙しかった昨日と比べて、緩い緩い 今日一日との間に、…

名も無き砂塵の一粒を

|縷々| |音| 晴れ間から零れ落ちる細い雨は、途切れ途切れに。 間隔を置く内に、気が付けば通り過ぎて居り。 夜になると車の往来は減って、街灯の橙の照らす 湿った路面から、うっすら、霧のよなものが、 ぼうっと浮かんで居るのが見える。 一雨ごとに秋が近…

置き土産の金曜日

|日々| |音| もはや暴力とも呼べる程の、荒くれ台風様のお通り。 建屋は断続的に揺さぶられ、雨は容赦無く殴りつける。 結局は、まんじりともせぬままに夜明けを迎え、 ほんの僅かの間ばかし、浅い眠りに身を横たえた。 嵐の過ぎ去った後には、不快指数のす…

家族の食卓

|本| グアテマラの弟作者: 片桐はいり出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 81回この商品を含むブログ (88件) を見る 女優としてもそうだけれど、片桐はいりと云う人は、 その文章にもまた、独特のリズムと匂いを持っ…

Time after time

|日々| |音| 木綿のカーディガンを羽織る、肌寒い日曜。 空は少しだけ遠くなり、続く季節を手繰り寄せる。 取留めの無い、ゆるりの午後の流れ。 薄く曇った空が、夕刻の蒼に覆われ始める頃。 誰も居なくなった店内で、絵空事の音の物語に 耳を傾けつつ、こっ…

湿度

|日々| |音| 残暑の日曜日。つい数日前に感じた筈の 秋の気配は、一体何だったのだろ。 まとわりつくよな湿り気を帯びた熱風。 身体中の力が離れてゆくのを、だらりと感じながら、 夜の訪れるのを待つ、平坦で永いばかりの午後。 窓を隔てたアスファルトの路…

感傷日和

|猫随想| 洗濯物の風にたなびく風景。こんな涼やかな日に ふと感じるのは、そう遠くない秋の匂いだろか。 それとも、未だ気の早い話だろか。 白いシーツはさらりと、空の下にまぶしい。 夏がやってきて、何かが変わった訳でも無いのに、 一つの季節の終わる…

日曜映画四本勝負

|映画| インファナル・アフェア 3部作スペシャルパック (初回生産限定) [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2007/01/17メディア: DVD購入: 2人 クリック: 68回この商品を含むブログ (48件) を見る『シネフィル・イマジカ』にて『インファナル・…

旅はいつも旅人の入って行けない場所にある

|旅| |回想| 最後に短い旅に出たのは、もう九年程も前のことで、そこに様々の想い出の在るのは勿論なのだけれど、今日アイスクリームを食べながら、ふと思い起こされたのは、何故だか旅の記憶の一片では無く、旅に出る前、或る人より手渡された、一筆の言葉…

眠ると言ってはドアをあけ

|日々| |猫随想| 夜になると、ときどきやって来る、 白くてちいさな訪問者。 今夜もやって来た。 この前は、玄関のちょっと手前。 その前は、も少し離れた花壇の辺り。 来る度に段々近付いて、今夜は丁度 ドアを開けたところに、大きな目玉して。 外に出て近…

紙のトランク空を飛ぶ

|本| 滞欧日記 (河出文庫)作者: 澁澤龍彦,巌谷国士出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1999/12/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (7件) を見る すっかり日暮れてから、冷房を弱めて珈琲を 淹れたのを飲みつつ、澁澤龍彦『滞…

日々のゆく先に在るもの

|徒然| 近頃、とみに感じること。 我々ひとりひとりの日々の暮しの些細なことが、 実はその先の大きなところへと、繋がって居るのだ、と云うこと。 月並みな物云いかも知れないが、移り変わり激しき 世の経済活動の影に、巧妙に隠されてしまって居る、 環境…

庭と人

|庭仕事| 庭と一口に云っても、広い庭から猫の額程の庭まで、 それこそ千差万別。つまりは、庭の持ち主と同じ数の 其々に異なった庭が在る、と考えて良いかも知れぬ。 庭の形態。植物の選び方。手入れの仕方。等など。 きちり隅々にまで手の入った庭も在れば…

独りごと

|縷々| |音| 夏の雲間から、コトリ落っこちた午後。 雷と夕立、連れてきた。 雨上がりの寂しさに、 それが何処からやって来るのか。 知り得る術など、勿論 メモ帖に書いてある訳で無し。 ただ独り、ぼんやり立つ夕暮れ。 夏祭りの、ここからは遠い喧騒。 [土…

凛とすると云うこと

|本| 女の子だからといって ヨワヨワしていたり メソメソしていたり 何かというと他人を頼りにして 愛しいと思われてみたり そんな子である必要はないのですよ(中略)傷つけないようにハッキリと言い 侮辱を感じさせない態度をしたら あとは 自由に生きなさ…

街と云う生き物

|徒然| |本| 未だ訪れることが叶わぬとは云え、イタリアと云う国に惹かれて久しいのだけれど、こと、ナポリと云う街は不思議と想う。 古代ギリシアの植民都市と云う古い起源に始まり、貴族的文化と庶民のそれとが同居する矛盾と混沌、聖と悪。幾多の文化の行…

月夜の浜辺

|縷々| |音| 月夜の晩に、ボタンが一つ 波打ち際に、落ちてゐた。 それを拾つて、役立てようと 僕は思つたわけでもないが なぜだかそれを捨てるに忍びず 僕はそれを、袂に入れた。 月夜の晩に、ボタンが一つ 波打ち際に、落ちてゐた。 それを拾つて、役立て…

螺子巻きの土曜日

|音| 窓硝子にぶつかって離れ、ぶつかって離れするのを、 夜霧に浮かんだ橙色の灯りが、ぼうっと照らして居る。 Five Leaves Leftアーティスト: Nick Drake出版社/メーカー: Hannibal発売日: 1992/05/08メディア: CDこの商品を含むブログ (14件) を見る

An armchair traveler

|雑記| |本| 欧州では、読書を通じて旅を愉しむ人を 「書斎の旅人」と呼ぶのだとか。 なかなか粋な云い回し、と思う。 となると、さしずめこの私もまた、 「書斎の旅人」の一人なのかしら。 未だに、書斎なるものへの憧れは在れど、 それらしきを構えるには…

くらい夜をとおって

|本| 先日届いた、道造の『盛岡ノート』を読む。 勿体無いので、少しずつ。少しずつ。 茶色いボール紙に、真白いシールが 貼ってあるだけの、簡素なカバーの中から、 するりと引き出す一冊のノオトには、 薄紙がかけてある。頁をそおっとめくる。 そうか。こ…

ポケットの中の一篇の詩

|本| |回想| 盛岡のミニコミ誌『てくり』*1が届く。 第5号には、先頃再刊された立原道造の「盛岡ノート」にまつわる記事が。「京都カフェ案内」の著者、木村衣有子氏が道造の足跡を辿る内容だった。他の号にも、素敵な話や喫茶店、ホームスパンの工房などが…

旅に出たなら手紙でもよこしてくれたまえ

|雑記| 飄々と生きたいものだなぁ。 日曜日が終わる頃に、ふとそんなことを考える。 表向き、普段は何を考えて居るのか、 ちと分からぬ風情で。何やら、ふらりして居る かと思えば、何食わぬ顔して、さっさかと。 面倒事は御免だけれど、それでも被れば やれ…

ただそこにあるというだけでもそんなに悪くない

|音| ひと匙の雨雲をすくって 珈琲に溶かす午後。 遠くへいったのは 誰の足音だったのだろ。 バッハ:リトル・バッハ・ブックアーティスト: グールド(グレン),バッハ出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル発売日: 2004/11/17メデ…

Ma non troppo...

|縷々| 間延びした土曜日に。 ちいさな歪みの土曜日に。 辞書に挟まった土曜日に。 何かの足りない土曜日に。 低く呟く土曜日に。 輪郭のたよりない土曜日に。 滲んだ半月の土曜日に。 夜雲のちぎれた土曜日に。 もう終わる土曜日に。 土曜日だった筈の、土…

私はリカオンが海を渡るのを見た

|縷々| |音| 海の匂い。 昨晩より続く雨の中に、漂う潮風の匂い。 こんな天気の日。海と山の距離の近い この辺りでは、時折、山の方にまで 海からの風が届くことが、珍しくない。 道すがら立ち止まり、野菜の入った籠を 別の手に持ち替えて、深く息を吸い込…

矢車菊の紫色

|日々| |音| 夏を思わせるに充分な一日に、空気が 澄んでいれば、尚のこと心地良い。 そんな折、知人より一本の電話が届き、 思いがけぬ風景を目にする事になった。 くっきりとした空。黄色い太陽の周りを、 まあるく囲むよにした虹の輪は、今までに 出遭っ…

日曜日の置いていったもの

|日々| |本| 朝から強い雨は続き、午後には雷も。 三時近くまで、誰一人訪れることなく、 ただただ、刻ばかりがのろのろと 過ぎてゆくのが、俄かに信じ難く、 まして、滅多に在ることでは無いし、 ちょっとした屈辱にも思えた。 空白を埋めるべく、掃除だの…

La passeggiata del vagabondo

|縷々| 例えば。 シチリアの音色に耳を傾けながら、 かの風に想い馳せ、グラニータの粒の 冷たいひと匙を口にするとき。 ブラジルの心優しき声に瞼を閉じ、 一杯の熱き珈琲を、ふと覗き込んで、 そっと、鼻先へ近付けるとき。 あなたがもし、そう望むのなら…

昔日

|回想| 『スキー』 2ねん3くみ ほびのほび子 わたしは、ふくしまけんの、たかゆというところへ、おやこスキーにいきました。きょ年もまるっきりおなじところでした。へやの名まえもへやもおなじ。でもテレビは、と思ったら、テレビは1つのチャンネルしか…

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