双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

私はリカオンが海を渡るのを見た

|縷々| |音|


海の匂い。
昨晩より続く雨の中に、漂う潮風の匂い。
こんな天気の日。海と山の距離の近い
この辺りでは、時折、山の方にまで
海からの風が届くことが、珍しくない。
道すがら立ち止まり、野菜の入った籠を
別の手に持ち替えて、深く息を吸い込む。
少し湿った空気は、馴染みの在る匂い。
けれど私は、夏の盛りの海が
好きではない。季節の外れた海や、
薄曇りの天気の海の方が良い。
夏の終わりの海もまた、捨て難い。


[雨降りの金曜日の一枚]

A Distant Shore

A Distant Shore

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