2007-06-03 La passeggiata del vagabondo |縷々| 例えば。 シチリアの音色に耳を傾けながら、 かの風に想い馳せ、グラニータの粒の 冷たいひと匙を口にするとき。 ブラジルの心優しき声に瞼を閉じ、 一杯の熱き珈琲を、ふと覗き込んで、 そっと、鼻先へ近付けるとき。 あなたがもし、そう望むのならば。 席を立ち、離れ、やがて去りゆくまでの間。 そこはいつでも旅先の何処かで、 あなたのささやかな夢想に成り得る。 この場所は、ここに在るけれど、 何処でも無い場所。或いは、 何処にでも行ける場所。