双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

感傷日和

|猫随想|


洗濯物の風にたなびく風景。こんな涼やかな日に
ふと感じるのは、そう遠くない秋の匂いだろか。
それとも、未だ気の早い話だろか。
白いシーツはさらりと、空の下にまぶしい。
夏がやってきて、何かが変わった訳でも無いのに、
一つの季節の終わる前、新たな季節の到来と共に、
何かの変わるよな気配を、つい心待ちにする。
ここ暫く訪れ無かった、件の白ブチ猫が、実は
ご近所の外猫であったことを、つい先日知った。
しかも、てっきり子猫だとばかり思って居たのに、
しっかり五匹の子持ちである。草むらにうち捨てられた
錆だらけの重機部品で、一心不乱に飛び跳ねる子らを
細い目して眺める彼女は、どっかりと、縁側に置かれた
座布団の上に余裕の佇まい。なりは小さくとも
逞しく子育てするその姿に、何だか安堵の心持ちを覚えて、
猫の世界のこととは云え、我らの暮らす世もまだ、
まんざら捨てたものではないのだな、などと感じ入る。
月夜の今夜は肌寒い。ぐっすり眠れそうだ。

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