|縷々| |音|
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
月に向つてそれは抛れず
浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
[火曜日の一枚]
- アーティスト: Luiz Claudio
- 出版社/メーカー: What Music
- 発売日: 2004/04/19
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
数日前の新聞にて、鎌倉の海岸にちなみ
この詩がとりあげられて居た。
ふと、今日になって思い出す。
静かで。寂しくて。小さくて。
この詩、いっとう好きだな。