双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

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気骨の字引

|雑記| こないだ、帰ってテレビをつけたら『ケンボー先生と山田先生 〜辞書に人生を捧げた二人の男〜』と云う番組がかかって居た。三省堂の字引『新明解国語辞典』の誕生及び製作における裏話や諸事情について語られたドキュメンタリで、観たのは中程辺りからであったのだが、いやはや、なかなか面白い話であった。あれ?もしや拙宅のもこの字引でなかったかしら・・・と早速に確認したところ、やはり新明解は第三版。 字引は元々、女学生の頃に買い求めた『広辞苑』第四版を使って居たのだけれど、ご存知のよに…

独逸君

|モノ| |雑記| 件の丸眼鏡であるが、見目同様かけ心地も実に宜しく、 早くも馴染んで、すっかり気に入りとなった次第。 濃淡の在る、程好い濃茶が落ち着いた佇まい。レンズは一見すると真丸だが、横幅に比べて上下が数ミリだけ短くなって居る。全体的に中ぶりの作りで、レンズの大きさ以外に不安材料の一つであった一山ブリッジは、幅も広過ぎず位置も丁度良く、着用中にズレて落ちてくることも無い。その上、四千円程の価格であるにも拘わらず、大変しっかりと細部まで良く考えて作られて居て、ちいとも安っ…

横暴と情緒

|雑記| こないだようやっと咲いたばかりの桜が、 今日にはもう、すっかり葉桜となって居て、 是にはさすが、気の毒なことと想う。 しかし、気の毒なのは桜だけに非ず。 歯医者へ向かう道行きは、晴天ながらも 昨日の春の嵐の名残りで、風が凄まじく、 南風だと思えば、北からの風に変わり、 そうと思えば今度は西、とまるで節操が無い。 嗚呼、歯医者へ行くだけでも気が重いのに。 春と云うのは、さながら女王気質で、 誰からも愛されて居るのだ、と云う自負から、 こうした横暴な我儘が許されるものと…

主の居ぬ間

|雑記| 組合の旅行で沖縄へ出掛け、 二泊三日を過ごして南国より戻れば、雪。 その気温差、凡そ二十度と云うので、 時差ボケならぬ、気温ボケ甚だしい。 人生初の留守番にお下の病も気掛かりであった 若旦那はと云えば、主の心配を他所に、 すこぶる元気な上、病もすっかり良くなった風。*1 案外、主の居ぬ方が気楽に過ごせるのか? 若旦那への土産には、やちむんの皿を。 Aちゃんには、同じくやちむんの湯吞みと 小さな素焼きのシーサーを買い求めた次第。 旅日記は追って後程。 *1:今回、残念…

お年頃

|雑記| 不惑を迎えて早々、腰を痛めてしまった。 或る日の無理な中腰に冷えの重なったのが 恐らくは原因かと思われるのだけれど、 嫌なぴりぴりを感じつつも、若旦那の通院で 暫し放置してしまったのがいけなかったか。 いよいよ以って耐え難くなったもので、 鍼灸整骨院へ通うことと相成る。 針を打ち、灸を据え、 電気を流した温湿布でうとうとし、 ときに超音波治療で悶絶。 体の歪みを整え正して貰うなどする内、 ようやっと屈んで靴下が履けるまでになった。 背中から臀部までテーピングを施して…

新しい一月

|雑記| 大晦日は墓参りにおさんどん。 元旦に親類宅での新年会。 正月も二日になって、ようやっと体が空くも、 特に何処へ出掛ける訳で無し。 年末から取り掛かって居たカーディガンを ちくちくと編み進めるなどして過ごし、 ささやかな休みを終えた。 暦が一巡し、新しい一月が始まった。 若旦那は主の世話の甲斐在ってのことか、 相変わらず艶やかで滑らかな毛並みを保ちつつ、 しかしながら、冬の猫の常として、 ふくふくと皮下脂肪を蓄えて居る。 昨日は水道管が凍てついたまま、夜を越した。 そ…

謹賀新年

|雑記| 新年明けましておめでとう御座います。 皆様にとって、良き一年となりますよう。 今年の元旦のお参りは、 人々でごったがえす大きな神社を素通りし、 散歩がてらにてくてく歩いて、坂の上の小さな神社へ。 急な坂道を登り、細い石段を登り。 ここは人の常駐する神社ではないから、 こんもりと茂った仄暗い木立の中は、 しんとひっそり、厳かな静けさ。 お賽銭入れて、柏手二つ。

ご挨拶

|雑記| 大晦日が命日である母方の祖父へ墓参り。 松林を背にし、墓前に手を合わせた後、 食堂にて昼食。カキフライ定食を食す。 父は自ら打った蕎麦を親類筋へ配るため、 ひとり台所で黙々と蕎麦打ち。 もう随分と前から恒例となって居る。 天麩羅の担当は、私。 夕刻実家を訪ねる前に、一旦自宅へと戻り、 夜具を取替え、洗濯機を回し、部屋を掃除する。 一年の過ぎ行くのが、年毎に早くなってゆく。 この一年。 日々を丁寧に過ごして来たろか。 何かを積み重ねて来たろか。 年の終いには、いつもそ…

年の瀬随想

|雑記| いつ頃からか。 年の瀬の、気忙しくも賑々しい空気を 肌で感じることが難しくなった気がする。 想えば昔は元旦に商いをする店なども、 一部を除けば殆ど無かったから、 年の瀬が近付くと、方々の店々を廻って 人寄せの準備や正月中の入用を済ませ、 念入りに掃除された玄関先には、 何処の家でも、正月のための御飾りが置かれた。 そうやって年を送り、年を迎える心づもりを、 折り目正しさを、暦に感じ入ったものだったが、 その暦の薄らいだ近頃では、元旦から店が開き、 備えなどせずとも、…

ゆきて帰りし月曜日

|雑記| 午後早いうちに、この年最後の散髪をすませてさっぱりした後、ホビンズ君は小一時間電車に揺られて『ホビット 思いがけない冒険』を観に行くことにしました。出かけるにはあまり良いとは言えない、寒いような寒くないような、雨雲のどんよりと広がるやっかいな天気でしたが、この機会をのがすと、おそらく年内には無理でしたし、どうしてもすてきな気晴らしが必要だったのです。八方ふさがりという言葉がありますけれど、何しろ近頃のホビボときたら、実にどこを向いてもまったく身動きがとれずに、すっか…

イーニドガールと曇り空

|雑記| 時折小雨のまじる、肌寒い曇り空の水曜日。 ひとしきりして落ち着いた遅い昼の頃、 駐車場に旧型の四輪駆動車が、一台。 あ。あの子だ。*1 ついこのあいだ、暫く見掛けないけれど、 どうして居るかな、って考えて居たばかり。 程無くして入って来た彼女は、独りきり。 おかっぱの髪を少しだけ短く切って、 けれど何だか、暗い浮かない顔付きで。 奥の卓に座って、ぼんやりお昼を食べて。 食後の珈琲を持って行ったら、 心疲れた風に、只、頬杖をついて居た。 何かしんどいことでも在ったのか…

散髪と赤い色

|雑記| 不精も不精。 散髪をかれこれ三月近くも放ってしまい、 鏡の中のもっさり冴えぬ顔付きに、 さすが是ではいけない、と美容院へ行く。 伸び放題の襟足を刈上げ、耳を出し、 久々すっきりさっぱりとなったら、 顔は明るく、同じ身なりもしゃんと見える。 何より、すこぶる気持ちが良い。 うん。やっぱりこの長さなんだな。 帰り道の途中で紳士物の赤いカーディガンを買い、 じきにやって来る冬を想って、心が躍る。 冬に身に着ける赤が好きだ。

開発と思惑

|雑記| 日めくり暦を一枚めくると、今日はこんな一文が記されて居た。 譲り合えば成り立つものを意地張り合って壊している。 成る程。確かにその通りであろう。 |若旦那| 若旦那の肉球。脱皮がほぼ完了したのか、本来のやわらかな風合いが戻って来たよである。しかし犬遊びを再開するには、未だ時期尚早かとも想うので、代わりにねこじゃらしを使うなどして、こちらは様々工夫を凝らして居るつもりなのだが、当の本人にすると、斯様なものでは満足できぬ、と然も云いたげの様子で、相変わらずの退屈顔だ。 …

倫敦的自転車懐古趣味

|雑記| さて。近頃ではこんな田舎街でも、休みの日と云うと、流線型のヘルメットに色鮮やかなウェアの人たちが、グループで連なっては、ロードバイクで颯爽と道路を走り抜けてゆく姿を、良く目にするのですけれど、こうしたスピード系のスポーツ自転車が人気を博する一方で、数年前から英国は倫敦にて始まった『Tweed Run』なる、スピードとは対極のスローで愉快な催しが、何やら人気のようなのであります。(◆) ”ツィード・ラン”とは読んで字の如し。ツィードの背広やニッカーボッカー、ベストにニ…

ご挨拶

|雑記| 残暑お見舞い申し上げます。 長屋の皆様。 残暑の折、如何お過しでしょうか。 八月の風や雲にも、僅かな秋の気配。 とは云え、未だ未だ暑い日が続きます故、 どうぞお体に気をつけて、健やかな夏をお過し下さい。

長屋横丁エレジー

|雑記| 或る日から、再び強制的に広告が表示されるよになった。 しかし前回と異なるのは、有料オプションを利用しないと 広告を外すことができない、と云う点である。 がっかりだ。 あえてこう云うことをしないのが、はてなの在り様だった筈。 だからこの長屋を選んだのだし、だから好きだったのだがな。 少し前にも書いたけれど、ブログと云うのは その人の”家”に例えることができる。(→◆) 故にその人の姿勢や人となりが家の佇まいにも表れる。 中には己の住まいに全く構わぬ人も在ろうが、 生け…

俺のバンタム

|雑記| 突然デジタル写真機のUSBジャックが壊れてしまい、 リコーの修理部へ送る。来月で無償修理の一年間 保障が切れるところであったので、不幸中の幸い。 その翌日は翌日で、 先頃新調したばかりの扇風機を初めて作動させれば、 是が僅か二十分程で故障。 買い求めた電気店へ出向き、 同様の新品と交換せざるを得ない羽目となった。 何の因果か。日頃の行いか。 何れも金銭的に損した訳では無いが、 この梅雨の空模様に似て、 もやもやとすっきりせぬ心持ち。 |電視| CSにて『あしたのジョ…

由無し事

|雑記| ■折畳み式の猫用キャリアをいじって居たら、プラスティックの芯地の一本が破損。一先ずビニルテープで補修する。このまま使って使えぬことも無いだろうが、どのみち長くはもたぬであろうし、種々考慮すると、やはり新調すべきか。 ■そもそも是、持ち手の長さの調節如何で、所謂2WAY。手提げと肩掛け、二通りに使える品であるが(→◆)、肩掛けと云っても、なにぶん"手提げの延長"感は否めず、持ち手を最も長くした状態でも微妙に寸足らずだもので、常にぎゅっと押さえて居ないと、肩からずり落ち…

イーニド・ガール

|雑記| 半年ほど前から、時々来店するよになった女の子が居る。 いつもTシャツ以外は黒を着て、足元はDr.マーチンの八つ穴。色はチェリーレッド。小柄で色白で、ぽっちゃりとした膨れっ面に、丸い形のおかっぱが良く似合う。彼女を初めて見たとき、ダニエル・クロウズの漫画に出てきそうな子だな、と想った。実際『ゴーストワールド』でソーラ・バーチの演じたイーニドに、一寸似て居る。けれど、一緒に来る子はレベッカではなくて、何処か『なまいきシャルロット』のルルをずっと大人しくしたみたいな、小柄…

爺さんを、編む。

|雑記| 先月頃より、電脳箱に入ったままの爺様の写真について、種々思案して居た。先ずは当たり前に、写真屋に出してきれいに焼いて貰い、何か塩梅の良いアルバムを求めて納めることを考えたのだったが、この塩梅の良いアルバム、と云うのがなかなか見付からずに、已む無く頓挫。さて、どうしたものか。とあれこれ調べ回るうち、フォトブックなるものの在ることを知る。ブックと付くからには、概ねが印刷された一冊の本様の体裁で、云わば一寸した写真集のよなものか。仕上がりや仕様、価格などは会社によりけりだ…

ホームセンターの女

|雑記| 「この間、ホビちゃんが○○の辺りに居るの見たよ」 ここ数ヶ月の間に、四五人の口から同じ言葉を聞く。 ちなみに○○と云うのは、ホームセンターの名である。 それ程頻繁に訪れては居ないのだが、こう続けて 目撃情報が寄せられるものだから、人々の間では、 ホビさんはしょっちゅう行って居る、みたいに思われて、 その結果としてどうやら、私はホームセンターが非常に 好きなのだ、と云うことになってしまって居るのらしい。 月に一度行くか行かぬかの場所だのに、それをよっぽど 好きなんだね…

白黒写真

|写眞館| |雑記| 或る日、何とは無しに若旦那の写真を見て居たら、何故だか色付きばかりで、白黒の写真の殆ど無いことに気付いた。爺様が白黒だったから若旦那は色付き、と云う程度の。別段意図もせぬままに写して居たのだろうが、妙なものだなと想う。どれ、と後日。昼寝中の若旦那に一声掛けて、気紛れの試しに白黒で撮ってみたのだけれど、是には実にはっとさせられた。何と説明すれば良いものか。つまり、その場、そのとき、其処に在った筈の心情や手触り、温度のよなもの。距離と眼差し。もしかすると私自…

双子

|雑記| 双子の青年を見た。 歳の頃、恐らくは二十歳前だろか。 双子自体は取り立てて珍しい存在で無いけれども、 私が思わずぎょっとしたのは、この二人の青年が、 文字通りの上から下まで。寸分も違えず全て揃いで 居たからであった。子供の双子が揃いのなりをして 一緒に居るのは、しばしば見掛けるものだが、もう 十分大人に近い青年が、服装は元より靴、鞄、髪型、 細かな色に至るまで、全て二人で揃いと云うのは 極めて稀な、非現実的な眺めである。それはつまり、 こちらの背筋をぞくりとさせるよ…

襟足に北風

|雑記| ほぼ二ヶ月ぶりの散髪に出掛ける。いつもと同じく、 前髪は眉下。耳をすっかり出し、襟足は程好く刈上げ。 散髪中に、白髪の塩梅について訊ねてみたところ、 一部集中型では無く、全体にバランス良く分布して 居る旨を告げられ、ホホホと満足。我ながら酔狂と想う。 心身ともにさっぱりとし、しかしながら、身支度に襟巻き の類を加えなかったため、帰り道の襟足と云ったら ひどくすうすうとして、是には参った。折角出掛けた ついでと、気分も宜しいのと。薬局の化粧品売り場にて 色付きの薄い口…

|雑記| 今年もまたひとつ歳を重ね、本日をもっていよいよ 四十も間際。坂道も所謂、九の坂まで行き着いた。*1 そもそもが、掻き分けた頭髪の中へ白いものを 見付けては、くつくつと喜んで居るよな質であるから、 年齢云々関しては、些かもナーヴァスな心情を持った 試しも無く、むしろ愉しみで仕方が無いくらいである。 しかしながら、そろそろ歳相応の落着きと云うのを 身に着けねば、折角の四十代に申し訳が立つまい。 九の坂は苦の坂。身体的にも精神的にも、丁度 ここいらがしんどい辺りなのだろか…

冷たい水曜日

|雑記| |音| 朝、目が覚めた布団の中。空に鉛色の予感がして、 身震いしながらカーテンを手繰ると、きんと冷えた 窓硝子越しに、雪でも降るよな空気が満ちて居た。 恐る恐る蛇口を捻ると、水は小さくしゃりと音を立て、 僅かな戸惑いの後、流れ出る。指先の感覚が失せる。 仕事場で珈琲を淹れながら、ぼんやりと外を見やれば、 南と西。両方の山向こうが白くけぶって、薄い雪を 降らせて居るのが分かった。暗い雲と共に、もうすぐ こちらへ辿り着くのだろか。けれど程無く訪れたのは、 霙がかった冷た…

新しいリズム

|雑記| いつもなら、大晦日と元旦は実家へ戻って過ごすのだが、 この度は自宅に居て、骨壷に納まった爺様と若旦那とで、 水入らずの年越し。しみじみと過ごす、行く年来る年。 主の目を盗んでは、遺影に供えた水を飲む若旦那を、 あっちの爺様は、如何な心持ちで眺めて居るのやら。 本来ならば拙宅は喪中だから、正月は無いのだけれど、 一寸だけ特別なカリカリをお供え。手を合わせた後の お下がりを、食欲も旺盛な若旦那のおせちとした。 こうしてまた迎えた新しい年。 新しいリズムで日々が動き出して…

由無し事

|雑記| ■気になって居た散髪をようやく済ませて、年の瀬を清々と。寒くとも刈上げ、耳も出す。 ■若旦那、もとい坊やが、隙を狙っては頭髪をかじりに来るので大変に困る。特に前髪へは執拗な執着を持って飛び掛って来るので、奴さんの目線が主の目玉の位置からやや上方にズレ、顎を引きながら小首を傾げ始めたならば、こちらは咄嗟に防御の構えをとるのだが、先日は不覚にも早朝の寝込みを襲われ、無残。額、頬など数箇所に赤い爪痕を負う。洗面所で鏡を覗き込めば、それはもう、石田国松であった。 ■映画を観…

Like learning to wear a ring or a pair of eyeglasses

|雑記| あいつが彼岸へ旅立って、一週間。宙ぶらりんになった夜は、静かに編み針を動かして過ごした。こんなとき、私に編み物が在って良かった、と想う。昨日は偶然日を同じくして、長屋のご近所さんから素敵な葉書が届いたり、素敵な贈り物が届いたり。お心遣いをどうも有難う。初七日終わるまで、一寸ばかり留守にして居りましたが、またひとつ。宜しくお願い申し上げます。 Give yourself time, Arnold. It gets better... But, Arnold, it n…

花発多風雨 人生足別離

|雑記| 今朝方届いた訃報に、今年の春の頃を想い出した。 そちらは、東京より震源地に近く揺れも大きかったようで、心配していました。 その後、ネットも復活しお店も再開したとのことで、まずは安心しました。 こちらは、幸い停電区域からも外れて普段と同じ暮らしができています。 今日、井の頭公園に行ってまいりました。辛夷の花が満開。 染井吉野はまだ2分から3分咲きといったところ。 それでも気の早い人はドンツクやっているんですねぇ。 ホビさんが満開の桜を見上げながら、ひと息つける日を願っ…

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