双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

進め、エオルの子らよ!

|音| |映画|


聴きながら洗濯物畳もうと思ったら、耳が釘付けになっちゃって家事が全然捗らないYO!


「BRASS EXCEED TOKYO」による演奏は『LOTR』三部作の楽曲がハイライト的に編曲されたメドレー。何とこちらオーケストラではなく吹奏楽団なのだが、コーラス隊の存在で荘厳さも加わり迫力満点で実に素晴らしい。特に金管隊がすこぶるかっちょいい、ローハンのテーマ曲が最高!(ねー、やっぱりローハンだよねー) そして又、烽火のシーンを思い出し、その尊さに身震いするのであった(笑)。
嗚呼。是、実際に生で演奏聴きたかったなぁ。(で、確実にホビット庄のテーマ曲で泣く )

海の道

|散輪|


先週が山だったから、今週は海かなぁ…ってんで、隣町の海岸沿いに続く旧街道を走ってきた。タイヤに空気入れて支度して、正午ぴたりに出立。

途中まではいつもの県道Aから越境→ド平坦一本道を行くコース。そこから先は線路を跨いで市街地に入り、坊ちゃんズのお医者で馴染みの道を国道との合流点まで。忙しない国道を横断して、ひと度細い道に入れば旧街道である。昔からちいとも変わらぬ街並みは、昼を少し回ってひっそり静かの佇まい。二本ほど海側に通りを入ると、すぐに小さな漁港が見えてくる。数隻の漁船が並んで揺れ、釣り船屋の前の網棚の上で小魚が日干しされ、海風に乗った潮の匂いが強く漂う。嗚呼、港だねぇ。
ほんの少しの間に防波堤の端まで走り切って、人っ気の無い小さな漁港を後に再び旧街道へ戻る。それまで真っすぐ平らだった道が、港を過ぎた所からは地形に沿うよに坂とカーブの連続に変わる。登って下ってキューっと曲がって。緩急入り混じった坂とカーブは何れも小さくリズミカル、さながら海を見ながらのローラーコースターみたいだもので、愉しい愉しい。短い登りは立ち漕ぎの練習にも丁度良いし、何しろ海沿いを走るこの爽快感ったら!

ルンルン軽快に走る(笑)うちに、やがて団地の端っこが見えて来たので、松林に囲まれた公園でひと休み。ベンチに腰掛けて麦茶とオールレーズン、それと塩羊羹もモグモグ。程好く仄暗い松林の中は風が涼しく、きれいに手入れがしてあって、ゴミ一つ落ちて居ない。


公園の柵の向こうに水平線。


人心地ついて涼んだら、さてと。道の続きを行こうかね。相変わらずのアップダウンとカーブを進めば、やがて道は団地の中へ入って行く。短い急勾配を二つ越えてシャーっと下ると久々に平らな道となり、信号の在るT字路まで来れば砂浜の在る海岸への入り口が近い。左を行けば海岸、右はバイパス方面だが、折しもこの辺り一帯は道路の拡張工事の真っ最中なのであった。この先の新しい国道バイパスと合流する辺りが近頃、商業施設だの何だの再開発でごちゃごちゃしてきた所為で、恐らくはこんな小さな裏道へも忙しなく車が流れ込み、交通量が激増したためであろう。
ふむ。ここからどうしようか。拡張工事は暫く先へも続いて居る風であるし、どのみちバイパス手前まで行っても引き返すだけなので、一度海岸口の駐車場へ降りてくるり、Uターン、来た道を折り返すこととした。

行きも帰りも海沿いローラーコースター。海を見ながら走るのは、ぱあっと開けた解放感が在って、山とはまた違った種類の愉しさが在る。日焼け止めのとっくに剥げた頬っぺたに、塩辛い海風がちりりとした。旧街道、また走りに来よう。
帰り道も三分の二を戻った辺り。無性に炭酸が飲みたくなってきて、図書館前の自販機でレモンスカッシュを買った。木陰のベンチに腰掛けてシュワシュワと飲みながら、あ。今日はずっとアウターギアのままだったな、と思う。残りのおやつも片付けて、さあ。もう一っ走りだ。ついこないだ未だ緑だった田んぼの早稲が、もうすっかり色付いて首を垂れて居た。午後二時二十分、帰宅。



行って帰って凡そ32㎞、海沿いの旧街道を行くは愉し。

山の道

|散輪|


ここのところ、平らな道ばかりを選んで居た反動であろう。すると今度は、あれほど避けて居た坂が無性に恋しくなってきたのである(笑)。そうとなりゃ、いっちょ登りに行ってみるかね、ってんで午後一時。おやつとおむすび、麦茶を積んだらグワイヒア号で出立。

田んぼ道から県道Aへ出て越境、以前に走ったコース()から先へと脚を延ばして、県道Bを西へ西へ。比較的緩やかな勾配の坂を登れば、程無くダムに至り、ここでほんの少しだけ休憩し先へ進む。この県道は山間の集落を幾つも抜けながら、更にその奥の山へと続いてゆく道であるが、いつだかの登り一方な地味県道()とは全く趣きが異なり、差し詰め”ゆるクライム”とでも云おうか。登りの中に平坦も下りも程好くミックスされて、長閑で愉しい山の道なのだ。勾配のきつい区間は在るものの距離は短く、又アップダウンの配分が実に上手い具合なもので、疲弊することなく、気持ち良く走り続けることができるのが嬉しいし、広域農道との分岐点を過ぎれば、車の往来も減って静か。

日差しは結構在るけれど、風が爽やかで清々しいなぁ。と登り坂の途上。上の方から白いロードバイクが実に颯爽と下って来る。紺色のサイクルジャージを着た、長身で細身の殿方であった。「こんにちはー!」「こ、こんにちはっ!」爽やかな笑顔と全く嫌味の無いそのスマートっぷりに、心の中で「ロード紳士じゃのぅ…」と呟くワタクシ(笑)。
その後も田畑で草を刈る小父さんやら、蛇の死骸やらを目にするなどして進むうちに、やがて小さな屋根付きのバス停が見えてきた。数年前、フォルゴーレ号で来た際にも休憩したバス停。是が又、丁度良い塩梅の場所に在るんだ。今回もここでひと休みである。グワイヒア号を停め、古びた木のベンチに腰掛け、蒸しパン食べて麦茶を飲む。屋根が掛かって居るので日が避けられるし、向かいの田んぼからは風が渡ってくる。

のんびり憩いながらここまでの道中を振り返り、そう云えば、以前みたいには登りが嫌だと感じなくなって居たことに、ふと気付いた*1。今までなら即、インナーギアにして登ったであろう勾配も、今日はアウターのままで十分いけた。乗り方が徐々に分かってきて、必要な筋力が備わってきて。少しずつではあっても、確実に前に進んで居る気がする。”冒険チャリ”のグワイヒア号とだから、(人力で)こんな場所へも来ることができるんだなぁ...などと長閑に感慨に耽って居たら、すっかり半時も過ごしてしまった。いけね、布団干しっぱなしだ(笑)。今回はここで折り返すこととした。

復路。けれども何だか、只来た道を戻って帰るのが惜しい気がして、町境を過ぎた所からぐるり。わざわざ遠回りして団地の中を抜けて、午後三時半頃に帰宅。この夏の最後の散輪は、走行距離32キロの山の道となった。



バス停から眺める景色。残暑は兎も角、夏が終わる。





*1:とは云え、やっぱり激坂は勘弁ね…。

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