双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

気分はいつでもローポジション

|音|



午後、小津映画のサントラを聞きながらほうじ茶をすする。
すると店内がすっかり「秋刀魚の味」になるのであった。


嗚呼。
新型某の大波が、いよいよと云うか、遂に身近な所まで迫って来よったわい。
岩下志麻の美しい額を思い出して、濁った心を洗い流すのじゃ。

夏の道の続き

|散輪|


うっすらの薄曇り、気温28度。昼を食べてからグワイヒア号で走りに行く。
今日は団地方面を抜けずに、反対方向の田んぼ道を選択。そこから昨日の一本道を走って町場に出る。実家へ立ち寄って仏壇に手を合わせた後、海岸へと向かった。
海岸の道は防波堤沿い、定規で引いたよな真っ直ぐ平らのコンクリート道を、端から端へひとっ走り...と中程まで走って来たら、グループで大騒ぎする、幾つもの裸族の群れ(笑)と遭遇。触らぬ神に何とやらで、是を回避、止む無く途中で切り上げた。くわばらくわばら...。海岸から離れて町場へ戻りながら、さあて。これからどうするかな。

昨日例の一本道を走った際、聞いたよりも随分と短かったのが、どうも引っ掛かって居た。話ではもうちと距離が在る風だったし、確か砂利道の箇所が在るだとか、川と平行だとか聞いた気がするけれど、ひょっとすると何処かから川沿いの道へ入れるよになって居るのかしら。帰りも再び一本道を走る。いやぁ、本当に気持の良い道だなぁ。


穂をつけた早稲の緑が目に爽やか。四方ぐるり、どこまでも田んぼ。


すると、やはりそうだったか。別道との合流地点よりも10m程手前、橋の袂の左脇に、気を付けないと見過ごしてしまうよな細道を発見。民家のすぐ裏手なのでうっかり見落としてしまったが、川に沿ってその先へ続いて居るので、恐らくはこの道が”続き”なのであろう。道幅は車が一台通れる程度。アスファルト舗装こそされては居ても、如何にも農道と云った風で、田んぼを世話する農家の人や、ちらほら点在する釣り人以外は殆ど使わなそうだ。生い茂った背の高い雑草に隠れて見えないけれど、その下に川の流れて居るのが分かる。ふうん、こんな道がこんな所に在ったのだなぁ。ふと視線を向けた先にシラサギが一羽、田んぼの真ん中ですっくと立って居た。静かな景色。

最後の方は砂利道になって、その先の小さな橋を渡ると、製材所の材木置き場が見えて馴染みの道へ出た。成る程成る程、こうしてここへ出る訳ねぇ。実に上手い具合になるもので、しかもこのルートなら、ほぼ平坦基調で走ることができる。初めて走った夏の道には続きが在って、ぐるりと一筆書きで繋がった。



一本道は川沿いへ折れて細くなり、その先も暫く続く。川の流れに蝉の声。

夏の道

|散輪|


午後。良い塩梅にほんの少し日が陰ってきたので、小屋からグワイヒア号を引っ張り出し、その辺をしゃーっと走りに行く。こないだ知人から聞いたばかりの道は、町場へ下って大型スーパーの裏手へ出て、橋を渡った少し先を右へ折れると現れる一本道。曰く「如何にも田舎道って感じだけど、舗装されてるし、のんびりして良い道だよ」そう云や、未だ一度も通ったことなかったなぁ。道の存在も知らなかった。

よし。ささっと短パンとTシャツに着替えて、ボトルに入れた麦茶と手ぬぐい持って出立し、いつもの裏道から団地坂を下って町場へ。周辺を適当にぐるり回ってから、橋を渡って件の道へ入る。車両の往来の殆ど無い、のんびり長閑な夏の道を走れば、近くの牛小屋から風に乗って牛の声。汗かく暑さの中にも、川を渡ってくる風が心地良くて清々として。ド平坦の一本道をご機嫌に2キロばかり走ったところで、おや。見知った別の道へと合流、お終いとなった。てっきりもっと先の方まで続いて居るものと思ったのだが、残念。せめてこの三倍くらい在ったら良かったのに。
そこから先は小さい坂を少しだけ登って団地へ入り、後は田んぼ道を縫うよに適当に走って帰って来た。ほんの三十分の散歩ならぬ、散輪。どうだろ、明日も走れるかな。


知らなかった道を走るのは、いつだって愉しいのだ。

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