双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

家に着いたら、ただ猛烈に腹が減って居た。

|散輪| |写眞館|


久々の晴天に風も爽やかな月曜日。グワイヒア号に乗って、件の”地味県道往復一人サイクリング”へ行って来た。
などと書くと、何だかのんびり愉し気な感じであるが、いざ走り出せば、待ち受けて居たのは最大勾配20%の激坂区間をも含む、くねくね坂ばかりが延々と続く山の道。即ち、往路の四分の三は全くのヒルクライム、と云うハード過ぎる行程なのであったYO…。

午前十一時半、自宅を出立。先ずはここから2km程上に在る峠まで行き、そこから坂を下って登って、下り切った所で峠道が地味県道と交差。左折したら、いよいよ県道をひたすら進むのみである。この県道は越境して隣県へと続いて居るのだが、さすがにそこまでは無理なので、今回の終点は山奥の集落であるS地区の神社前と決めてある。片道約17kmの道のり。はてさて、無事辿り着けるものやら…。


県道に入るとすぐに緩い登りが始まる。路面は思いの外、舗装が整って居て走り易く、林業関係の大型車の行き来は在るものの、他所の道路と比べて圧倒的に交通量の少ないのが有難い。じわじわと増す勾配に不安を覚えながら、道の両側が鬱蒼としてきたなぁ、と思ったら古い祠を発見。ちょっくら立ち寄ってこの先の無事をお願いした次第。


暫く走ると案の定、勾配がきつくなってきたので、後ろのギアを軽くして何とか凌ぐ。やがて道は難所の激坂区間へと突入。勾配9%だ11%だなんてのはいつの話だったか、気付けば15%だの17%だのが当たり前に…。え?20.9%って、一体何のこと(笑)?私は坂バカの人では無いので、只々苦しいだけである。
ここは無理せず休憩を挟むこととし、車寄せで停車。降りたら軽く眩暈がする(笑)。こんな場所で低血糖なんか起こしたら大変、と麦茶飲んで塩羊かんモグモグ。以降は己の脚力と相談しながら、キツくなったら少し止まって縁石に足掛けて休んだり、降りて押しながら歩いたりを交えつつ、その先のW地区を目指す。W地区まで走れば丁度半分を来たことになり、そしてこの激坂も終わる。そこからはあと少し登りを頑張った先には、目的地のS地区まで下りの続くご褒美道である。


気のせいなんかじゃないのよ、この勾配(笑)。


嗚呼、果て無く続くかに思える登り坂…。しかし空がきれいだなぁ。


オールレーズン食べながら、橋の真ん中でグワイヒア号をパチリ。


途中でボトルに湧き水を汲んで活力を得、何とか激坂区間を登り切ってW地区へ入る。そこから更に数キロの登りを頑張ったところで、疲れた体に嬉しい下り坂が訪れた。この下りに見える道は…目の錯覚じゃないよね(笑)?ブラケットから下ハンに握り直してシャーっと木々の間を駆け降りれば、他にすれ違う車も人も無く、聞こえるのはグアイヒア号の車輪の回転と風を切る音、山鳥のさえずりのみ。木々の梢からこぼれる光がきらきらと、瞬く間に頭上を通過してゆく。嗚呼、何たる爽やかさよ!
木々のトンネルを抜けると道は平坦基調となり、一気に目の前の視界が開ける。左手に広がる一面の田んぼ。吹き抜ける風が心地良くて、暫し休憩した。


水の張られた田んぼに、さあっと風が渡る。山鳥のさえずりの澄んだことと云ったら。


美しい田んぼを左へ眺めながら平坦道を少し走ったところで、むむむ。気になる未舗装路発見。「アドベンチャーロード」の名を持つ自転車だもの、走ってみない手は無いよね。ってんで、ちょっくら寄り道してみることに。最初に入った林道は砕石がゴロゴロで道も険しく、すぐに引き返してしまったが、次に見付けた林道はそれ程でも無さそうだったので、恐る恐る入ってみることに。緩やかな登りの細い砂利道を行けば、グラベルタイヤは実にしっかり路面を捉えてくれて頼もしい。おお、是は実に愉しいぞ!まさか自転車でこんな道がぐんぐん走れるなんて。是が君の醍醐味なのか。全く素晴らしいねぇ、グワイヒア号。



【上】こんな険しいガレ道は無理かなぁ、とあっさり引き返す(笑)。
【下】そこから少し行った所で別の林道を発見、入ってみたら愉しいのなんの。見晴らしの良い場所から、長閑な里山の風景を暫し眺めて憩う。


適当な所で砂利の林道を引き返し、元の県道へと戻る。目的地点まで残り僅かとなったことを道路標識が知らせてくれる。実は激坂を登りながら、途中のW地区で折り返すことも考えたのだけれど、登り切って、水飲んでおむすび食べたらすっかり体力を取り戻して、終点まで行けるな、と云う気持ちになったのであったよ(笑)。お、最後に少しだけ登るんだな。立ち漕ぎで一気に駆け登れば、そこは目的地のS地区。神社前であった。

いやぁ、自転車で走ってここまで来たって云ったら、皆信じるかなぁ。恐らく信じないだろなぁ。自分でも意外で一寸驚いて居るくらいだものね。はじめの内は四分の三が登り一方だなんて、全くとんでもねえ!と思ったけれど、少し降りて休めば脚は回復したし、オイラも案外できるじゃないの、と(笑)。*1


お参りしてから、石段に腰掛けて暫し休憩させて頂いた。


終点の神社前にて、パチリ。


さて。勘の宜しいご近所さんなら、既にうっすらお気付きかと思うが、”地味県道往復”と云うことは、来た道を折り返して帰ると云うことであり、即ち、登りが下りになり、下りが登りになると云うことである。そう。復路はひっくり返って、恐怖の (ほぼノンストップ) ダウンヒルとなるのであったYO!
下ハン握る手に冷や汗かきつつ、ええと、肩の力を抜いて、ブレーキはなるべく当て効きで…って、色々考えても全て吹っ飛ぶ勢い(笑)。激坂下りの途中で一旦止まってウィンドブレーカーを取り出し、ついでに残りのおやつをモグモグ。よし、行けるか。そこからは徐々に操縦にも慣れて、幾らか余裕を持って県道を最後まで無事下り終えることができた。いやぁ、それにつけても、つくづくディスクブレーキで助かったぁ。


あ、そうそう。地味県道と交差する例の峠道。*2当然ながら、帰りもここを走って戻る訳だが、実はこの峠道。まるで演歌のタイトルみたいな大層な名前が付いて居る(笑)。恐らくは、繰り返すアップダウンを人生の浮き沈みになぞらえて居るのだろう。帰りの長いダウンヒルで随分休ませた筈の脚だったが、そこは自転車素人、しかも五十路手前のお年頃である。浮き沈み、もとい、この期に及んでのアップダウン、と云うかアップの方はもう勘弁して貰いたいなぁ。と云うので登りは押しながら歩き、後は適当に乗って走って帰宅した次第(笑)。

午後三時半、自宅到着。疲れよりも何よりも、ただ猛烈に腹が減って居た。

今回の走行データ覚え書

  • 日付 2022/06/13
  • 走行距離 35.45 km
  • 移動時間 2時間 40分
  • 記録時間 3時間 59分
  • 平均速度 13.0 km/h
  • 最大速度 42.0 km/h
  • 獲得標高 788 m
  • 温度 25℃

一応データは記録したけれど、是が果たして如何な塩梅かは正直よく分からない(笑)。

*1:昨年秋から続けて居る自宅筋トレ&スピンバイクの成果かねぇ、としみじみ実感。

*2:市内の中学対抗駅伝では、最も盛り上がる花形の区間としても知られる。

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