双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

平らな道を走りたい

|雑記| |散輪|


猫らのお世話と掃除を終えて、トーストを焼き、珈琲を淹れる。
一段落して時計を見たら、未だ十一時を少し回った頃だった。
別段、何の予定も無いけれど、かと云って無為に過ごすのは耐え難く、
季節の勝手で背負わされた、体の重ったるい違和感みたいなものを、
只ガーッと動かして解消したくなった。自転車でひとっ走りして来るか。
ささと支度して、グワイヒア号の調子診て。
さあて、何処へ行くかな。

なるべく平坦な道が良いけれど、場所柄故の多少の坂は仕方無し。
一先ず南へ向かうのに、裏道と田んぼ道を使って県道へ出た。
ここからは猫らのお医者へ行くときに使う道。交差点から暫くは
くねくねと登り坂が続き、登り切ったところが隣町との境である。
少し下った信号で県道から左へ道を折れれば、見事なド平坦の一本道。
嗚呼!平らな道をひたすらにのんびり進むことの、何たる仕合せ。
ずっとずっと、このままいつまでも平らな道だけを走って居たい。
のほほんと2キロ程走って一本道終了。程無く交差点である。
まっすぐ進めば市街地へ、左折は田畑の中を抜けて新興住宅地。
右折は…はてさて。一度も通ったことが無かったなぁ。
比較的新しく整備された道路なのか、道幅も十分で舗装もきれい。
しかも何だか平坦っぽい雰囲気である(笑)。どうやら方向的には
県道へ繋がる感じなので、ダム方面への交差点辺りに出るのかも。
そうとすれば、なかなか良い道を見付けたものだ。うへへ。

などと、軽率に浮かれたのも束の間。
平坦ぽい雰囲気を装って居ただけで、道はやがて徐々に登り始めた。
え何?「〇〇山 工業団地入口」って、地名に「山」が付いてるじゃん!
しかもだよ、ご丁寧に「勾配8%」の黄色い道路標識まで立ててある(笑)。
ああもう、何だよ…。ここいらには、満足な平坦道すら無いのかよ。
東西南北、何処も坂だらけ、峠だらけ、山だらけじゃねえかよ…。

繰り返すアップダウンを、遣る瀬無い心持ちで渋々登っては下る。
最後の下りの先、道は見覚えのある場所へと至った。
やはりダム方面へ向かう交差点であった。このまま進めばダムだが、
平坦だと思って居た道を散々登らされた後では、そんな気にもならず、
歩道にグワイヒア号を止めて縁石に腰掛け、一気に麦茶を飲んだ。
さあて、さっさと帰るかな。
来た道をそのまま引き返し、ゴルフ場跡地へ差し掛かった途端。
物凄い勢いで、バケツをひっくり返したみたいな雨が降り出した。
すっかり自棄なので、この際、ずぶ濡れようが構いやしない。
その内に、自棄が過ぎたか。妙に愉しくなって来たぞ(笑)。
しっぱねだらけで田んぼ道、さながらダート走行じゃ!
いやはや。グワイヒア号のタイヤは、この酷い土砂降りの悪路でも
しっかり路面を捕えてくれて、しかも軽快。実に頼もしい限りだヨ。
ディスクブレーキの恩恵も実感しつつ、折角の土砂降りを存分に満喫し、
往復17キロ程を小一時間。十二時半過ぎに帰宅。


それにつけても。
思い切り平らな道を走りたいのよー!

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