双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ホリスティックご飯事情:其の四

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【前回からの続き】
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『其の二』は→
『其の三』は→


猫らの食餌見直しに端を発したホリスティック行脚も、この一冊が始まりであった。

Herbs for Pets ペットのためのハーブ大百科 SECOND EDITION (Nanaブックス)

Herbs for Pets ペットのためのハーブ大百科 SECOND EDITION (Nanaブックス)

  • 作者: グレゴリー・L・ティルフォード,メアリー・L・ウルフ,金田俊介,金田郁子
  • 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
  • 発売日: 2010/12/22
  • メディア: 大型本
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値段が値段だけに幾度も躊躇した末、えいっと奮発して購入するも、読み始めて間も無しに、お値段以上の価値の在ることを確信。すっかり付箋だらけとなって、今では無くてはならない存在である。
著者のティルフォード氏は動物専門のハーバリスト、拙宅でも愛用の『アニマルズ・アパスキャリー』『アニマル・エッセンシャルズ』のサプリメントやハーブ製品の調合師でもある。氏自身の豊富な経験を基に、薬用ハーブの動物への使用法や症状に応じた具体例、薬効などが詳細に書かれた本書は、辞典と実用書の役割を兼ね備えた、実に読み応えの在る分厚い一冊なのだが、食餌の重要さについてもかなり頻繁に触れられ、我々も含めた生き物にとっての”ホリスティック”と云う考え方が、如何に自然で理にかなって居るかが、非常に分かり易く説かれてあるため、初心者にとっての入門書としても頼もしい内容かと思う。


”ホリスティック”とは”全体”を意味する造語で「からだ=一つの全体」即ち、無数の臓器や物質や微生物と生命力とが、絶妙のバランスを保ちながら成り立って居る「心と身体の複合体」である、と。身体(body)、精神(mind)、霊性(spirit)、環境(environment)など、我々を取巻く様々な要素を一つの全体と捉え、それら全てがバランス良く、調和の取れた状態で保たれることが、真の健康であり、従って、からだの調子や気分のすぐれぬのは、こうしたバランスが崩れて危険な状態に陥る前兆、即ち”dis-ease”(不-健康)な状態と考える。因みに、西洋医学的な”健康”の定義は「病気でないこと」である。
又、トラブルの発生に対する対処も両者ではかなり異なって居り、問題の起こって居る場所を部分で抑える”対症療法”の西洋医学に対し、ホリスティック医学では、問題の起こって居る場所では無く、何故そうした症状が出て居るのか?と考え、その原因にアプローチして治療する”根本治療”である。基本は日頃の養生で自然治癒力や免疫力を高め、病気にかかりにくい、病気に負けないからだに整えてゆきましょう、と云うことなのだけれども、是は我々にも馴染みの在る漢方・中医学の理念とほぼ同じじゃなかろか。つまり漢方・中医学、更にアーユルヴェーダなども、ホリスティック療法の仲間と考えれば分かりやすいかも知れない。
そんなこんなで「そうそう!私が知りたかったのは、まさしくこう云うことだったのだよ!」と、探し物をようやっと探し当ててからは、すべきことがしっかりと明確に見えてきた。講座で学んだことを基礎として、合格後はその上へ重ねるよにして自分なりの学習を進め、それをひとつひとつ実践し、拙宅の坊っちゃんら(及び、お外の剣菱嬢)の健康状態が、目に見えてぴかぴかとなって来たことで、改めて食餌の大切さと云うものを痛感。そうして其処から見えてきたのが、まさしく「医食同源」であった訳である。食べた物が体をつくる。つまり、食べた物の内容がそのまま体に表れる。至極当たり前のことであるけれど、至極大切でもある。そしてそれは、動物も人間も同じ。犬猫のホリスティックケアを学ぶと云うことは、そのまま自ずと、我々人間にとっても全く同様なのだ、と知ることなのである。


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私的教科書色々。
ネコの食事ガイド―ペットとホリスティックに暮らすネコの健康ガイド (ペットとホリスティックに暮らす)ネコのライフスタイル (ペットとホリスティックに暮らす)
イヌの食事ガイド―ペットとホリスティックに暮らすイヌの健康ガイド (ペットとホリスティックに暮らす)イヌのライフスタイル (ペットとホリスティックに暮らす)
このシリーズ、犬編と猫編で其々三冊ずつ。全部で六冊も在るのだが……

Dr. Pitcairn's Complete Guide to Natural Health for Dogs & Cats (4th Edition)

Dr. Pitcairn's Complete Guide to Natural Health for Dogs & Cats (4th Edition)

そもそも原本はコレ一冊なのである。犬編・猫編に分けるのは良いとしても、更に細かくバラして売ると云うのは、明らかに出版社の商魂だわねぇ。そうなると当然、犬と猫とに無理やり分けた所為で、内容的に重複する部分が相当在る訳です。商魂的には何とも腑に落ちないが、内容的には素晴らしいので良しとしたい(笑)。


ペットの自然療法事典 ペーパーバック版 (GAIA BOOKS)

ペットの自然療法事典 ペーパーバック版 (GAIA BOOKS)

  • 作者: バーバラ・フュージェ,山根義久,越智由香
  • 出版社/メーカー: ガイアブックス
  • 発売日: 2010/12/01
  • メディア: 単行本
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事典と云うだけあって当然分厚い訳だが、その内容たるや名に恥じぬ充実ぶり。現代西洋医学とのバランスを上手く取りながらのスタンスが丁度良く、栄養学、ハーブ療法、カイロや指圧などの理学療法ホメオパシー*1などなど。又、消化器系・循環器系などの系統毎に分けられた各病状別対処法も充実して居り、まさに一家に一冊じゃなかろか。価格は確かにお高い部類だけれども、こちらも十分にお値段以上の価値在り。


愛猫のための症状・目的別栄養事典

愛猫のための症状・目的別栄養事典

手作り食と云うと、どうしても身構えてしまいがちだが、著者の須崎先生の語り口は実に柔軟で包容力が在り、兎に角気張らず愉しく。分かり易くて続け易いのがいちばん、と云う風なので、手作り食を試してみたい方は勿論、少しだけ取り入れたい方、猫の基本的な栄養について知っておきたい方も、一度手に取って読んでみることをお勧めしたい。症例別の具体的なレシピは参考になるだろうし、又「猫に〇〇は駄目!」的な一般常識が必ずしも正しくない、など目から鱗のお話も色々で、読み易いのにためになる一冊かと思う。


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さてさて。随分長々と続けてしまったけれど、これまでの種々を一先ずは何とかまとめられたかしら。とは云え、ホリスティック行脚は日々勉強、日々実践。この先もずっと続くのであろうし、猫らの状態も常に一定ではないから、それによって変わってゆくことも当然在るだろう。だからこそ学び甲斐が在り、意義が在るのだと思う。何より、愉しみながら学べて、それが実際に役に立つと云うのが素晴らしいじゃないか。

*1:ホメオパシーについてだけは、今もって良く分からないのだけれども…(笑)。

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