双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

年の瀬に書いておきたかったこと

|徒然|


 数か月に一度、高速道路を使って三時間もかけて通って下さるNさん。本とコーヒーが大好きで、凛と古風な佇まいに、控え目な物腰の中にもキリリ、芯の強さの感じられる女性。近頃知ったのだけれど、法律関係と云うお仕事柄、身勝手や狡さなど人間の嫌な部分を見ることも多く、そうした中で澱のよな思いが積み重なって疲れてしまうと、(小柄で華奢な体付きからは想像できぬよな格好良いスポーツ車を)ビュンとすっ飛ばして一路、こちらへ伺いたくなるのです、と云う。世の中の理不尽さや、利便性ばかりが求められることへの疑問などなど。私がふと漏らした小さな憂いを通して、彼女も同じよな憂いを感じていると知り、お互い生きづらい世の中ですね、と苦笑いし、しかしながらNさんは「でも、私は諦めたくないのです。良くなることを諦めてしまったら、そこから希望も無くなってしまうでしょう?だから、せめてここに居る私たちだけでも信じましょう」と口元をやさしく緩ませた。
そんなNさんから或る日、一通の手紙が店に届いた。この店が在るから、私は私らしく居られる。落ち込んでも失望しても、ここへ来て大好きな本を読み、コーヒーを飲んで時間を過ごせば、もやもやと心に立ち込めた霧がすうっと消えてしまう。だから遠くても通い続けるのです。こんな場所は他にありません、心から有難う。以前にお薦めした本へのワクワクするよな感想と共に、要約するとそんなことが書かれて居て、私は何度も何度も手紙を読み返し、心からどうしようもなくこみ上げる思いを堰き止めることができなかった。白地に箔押しの小さなバラの花の入った、品の良い封筒と便箋は、彼女の佇まいそのものだった。

 月に数回、近郊の町から通って下さるKさん。以前にチョコレートを頂戴したエピソードを書いた()。ついこないだ、もし宜しかったら…と紙袋一つ分の本を寄贈して下さり、どれも素敵な本ばかりで恐縮して居たら、にこりと笑って、本を「処分する」と云う云い方は好きではないけれど「手放す」と云えば、私の手を放れても別の人の手に渡って、そこでまた新しい本の人生、と云うか本生が始まるって気がするでしょう?こちらでこの本たちが第二の本生を始められるなら、手放してこれ以上嬉しいことはありません、と。ずっと気になって居た本。読みたかった本。購入を迷って居た本。どの本も皆、この店の本棚に最初から並んで居るのが当たり前みたいな、実にピッタリの選書で、Kさんが店を愛して下さって居るのが、じんわり伝わってきた。

 長屋で古くお付き合いが在り、幾度か店も訪ねて下さって居るTさん。夏の頃だったろか、彼女から素敵な思い出のお裾分けが届いた。二枚の絵葉書。送って下さったTさんのお気持ちと絵葉書に溢れる懐かしい絵柄へ、私自身の懐かしい記憶も重なって、胸がきゅうっとなって。仕舞っておくのが勿体なくて、額に入れて、店の壁面のいつも目に付く所へ飾った。水色のポップで元気なのと、色鉛筆のふんわりやさしいのと。この前を通るたび、嗚呼、お守りみたいだなぁ、としみじみ思う。
 そう。理不尽に辟易したり、いがいがとささくれ立ったり、悲しみを通り越した諦めに支配されそになったとき。彼らの分けてくれた、これら小さな欠片の集まりが「大丈夫、大丈夫。わたしたちはこうして、いつもあなたを見守って居るよ」そう囁いてくれて居るよに感じて、はっと我に返るのだ。

何度も何度も、書きかけては書けなくて、けれどどうしてもこの年の瀬に、書いておきたかったこと。有難う。有難う。

いろんな四角のアランセーター、その後

|手仕事|


こないだ仕上がったセーター()。しかしながら、相変わらず袖の編地の伸びる様子も見られず、このままでは全く埒が明かぬのと云うので、結局は両袖をえいやっと外して、ダーっと袖口のゴム編みの所まで解いて、さくさくっと9号針で編み直したのであったよ...。
こんなことなら、最初からそうすれば良かったのよね(笑)。


比べてみました、の図。
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左が編み直し後(9号)、右が編み直し前(8号)。ひと回りほど違ったなぁ(笑)。


この写真の後、スチームアイロンで整えて編地を落ち着かせたら、
横幅の方もしっかり広がって、ほぼテキスト記載の寸法通りに。*1
でもって善は急げ、と早速に身頃と接ぎ合せて、
やれやれ。無事、二度目の完成と相成り候。

*1:どのみちパツパツには変わりないのだけれども(笑)。

園芸覚え書

|庭仕事|


以下、作業日誌など。

鉢植えバラの土替え及び施肥
ジョアシンと大株のヴックスのみ鉢替えも。

  • サフラノ(10号)
  • ヴィックス・カプリス( 挿し木苗/6号)
  • ラ・レーヌ・ヴィクトリア( 挿し木苗/6号)
  • ジョアシン・アネ(8号)→(10号):当初の8号では窮屈そうなので、一回り大きい鉢へ鉢増し。
  • ヴックス・カプリス(10号)→(8号):木立に仕立てるため、鉢をつめて小さい鉢へ植え替えた後、軽く仮剪定。


鉢から苗を抜いて軽く古い用土を落とし、コガネっ子の有無や根の状態などを一通りチェック。鉢底近くに元肥としてリン・カリ多めの粒状の有機肥料。その上に用土を少し盛って苗を戻し、粉末状の有機肥料を混ぜ込んだ自家製用土を足しながら植え付け。最後に活力剤を極薄めに入れた水でたっぷりと水遣り。
尚、Mme.ピエール・オジェ(10号)とMme.アルフレッド・キャリエール(12号)の土替え作業は、近日中に別途行う予定。

今年はお嬢さん方の数が増えたこともあり、冬作業はできることから、小分けにして行うこととした。十二月の作業としては、主に土替えと鉢替え。ただしこの秋に購入した中苗の皆さんは、いずれの作業も行わず次月にリンカリ肥の施肥のみ。又、落葉が進行中の株は葉取りも済ませ、未だ青々としたものは次月まで持ち越し。仮剪定・誘引作業などと共に行う。

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