双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

剣菱、膝に乗る

|日々| |猫随想|


午後に少し暇が出来たので、以前より延ばし延ばしであった、
自宅の洗面所へ小さな棚を一段取り付ける計画を遂行。
材料は小屋の化粧に使った杉板の端材と、L字棚受け。
丸鋸を使うまでも無いので、手鋸で寸法にカットしたのを、
洗面台の上にビス留めするだけ。至極簡単なものだが、
何せ今までは、窓枠の僅かな幅へ歯ブラシやコップを
無理矢理並べて居たので、是で随分と勝手が宜しくなろう。
明日に届く予定の、新しい歯磨き粉が此処へ加わる画を
ふと思い浮かべて、独り、満足する。


その後。
工具を抱えて小屋へ戻り、片付けなどして居たら、
開いたドアの外に剣菱嬢がやって来て、声を掛けられる。
「おやつかな?一寸待っててね」
煎餅の空き缶から”シーバDuo”の袋を取り出し、
一つ二つ。つまんだ手から穏やかな顔して食べた。
残りは皿へ。食べ終えて暫し、敷物の上に寛ぐ剣菱
こちらも椅子に腰掛けて、ビスの整理などして居ると、
ん?何やら膝にやんわりとした、ものの感触が...。
剣菱が私の膝に前足を掛けて居るのであった!
うわわわ〜!!
思わず声を出しそになるも、驚かしてはいけないので、
内心はどきどきとしながら、下手な平静を装いつつ、
袋からおやつをつまんで、是を口元へやると、
膝に手を掛けたままの格好で、ぽりぽり食べた。
そうして、じいとこちらの顔を見上げて居たと思ったら、
今度は何とまあ、膝の上へぴょんと乗って来た!
え、えええ〜!!!
何と無く乗ってはみたものの、おっかなびっくり...
と云った風に、膝の上でおやつを食べる剣菱
お叱り覚悟で、目の前の背中をそっと指で触れたら、
一瞬びくっとして、けれども、おやつ欲しさが勝ったのか。
パンチは見舞われず。助平心出して、も一度触れると、
さすがに空パンチが飛んで、ささと膝から降りてしまった。
そうよね、そうよね。お触りは厳禁だものね。
自分から来るのは良くても、こちらからは駄目よね。
今までずっと、雄猫とばかり関わって来たものだから、
雌猫の心理がなかなか解せぬのだけれども、
是が所謂ところの”ツンデレ”と云うものかしら(笑)。
それにしても、警戒心の強い野良の中でもとりわけ
警戒心の強い剣菱が、こんな風に心を寄せてくれる
までに至るとは。嗚呼、努々思いもよらなんだなぁ...。
こないだの”するり、ちょこん ”にも随分と驚いたが、
いやはや。今日はその幾倍も、幾十倍も驚いて、
驚いたのと嬉しいのとで、脳天がくらくらとなった。

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