双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ちんまり

|お嬢|


水曜の午後に旅立ったお嬢。丸一日挟んで金曜の午前中に火葬した。
金曜の朝、皆して籠に入ったお嬢の亡骸を秋の草花で埋めてあげて、店の中やポーチの花台、裏の野原など。長く馴染んだ場所、好きだった場所などをぐるっと廻って、それからひっそりとした山の中の火葬場へ向かった。火葬前に一通りの弔いを済ませて係りの人へ亡骸を預け、くねくねと細い農道を下って店へと戻る帰り際。小さな神社の立派な大銀杏の木から、はらはらと山吹色した葉がこぼれ落ちて居た。背景に晩秋の澄んだ空。

午後になって、お嬢はちいちゃな白い骨壺に入って戻って来た。おかえり、お嬢。そうかぁ、すっかりお骨になっちゃったんだなぁ。お嬢のなりみたいに、ちんまり。ちいちゃなお骨壺。真ん中に遺影、小菊やらお線香やら色々添えて、さかやかな祭壇を設えたところへ納まった。*1
なあんか気が抜けちゃったなぁ。窓の外の何処を見ても、いつもそこに居る筈の白と黒のちんまりが、もう居ないんだもの。



長屋の皆様へ。
喪中につき、新年のご挨拶はご遠慮申し上げます。

お外っ子、剣菱
去る十一月二十六日に、十一歳にて永眠致しました。
本年中に賜りましたご厚情に、心より感謝申し上げますと共に、
明くる年も変わらぬご交誼の程、宜しくお願い申し上げます。

*1:元々そこに居たアーロンも一緒。

<