双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

さよなら、お嬢

|お嬢| |猫随想|


本日午後一時十五分。
お嬢こと剣菱、逝く。
享年十一。


金曜日に具合が悪くなって、土曜日にお医者へ診せた後で強制的にお家っ子となり、それからほんの四日間。あっと云う間に逝ってしまったなぁ。
土曜以降はペースト食も錠剤も一切受け付けなくなって、あったかく設えたケージの中の寝床に横たわり、じいとして過ごして居た。月曜からは数時間おきに吐き気をもよおして辛そうだったため (お医者へ連れてゆくのはもう止そうと思って居たのだけれど)、火曜日に吐き気止めの注射だけ打って貰って帰って来たところ、薬が効いたのか少し楽になった風で、翌日まで比較的穏やかに眠って居た。あと数日かな。そんな事を考えながら、仕事の合間を縫いつつ、後ろの部屋へ様子を見に行って。
お昼どきの忙しさが一段落しかけて、ちょっとだけ手の空いたときだった。痙攣が起きたと母が慌てて呼びに来た。痙攣は数十秒程で治まり、その後も小一時間程の間に二度起こった。最後の痙攣の後で、いびきのよな呼吸が大きくなって、やがてしゅうと沈んだ。沈んで静かとなって動かなくなった。嗚呼、今逝ったんだ。

何だろなぁ。看取りが大変かもな、なんてちょっとは覚悟して居たんだよ。だのにお嬢は孝行娘だから、末期症状になってほんの五日で旅立っちゃった。だって木曜日までは散歩行ってご飯も食べて日向ぼっこもして、いつも通りだったんだもの。ガリガリに痩せもしなかったし、毛並みだってふんわりツヤツヤだし、かあいい顔のまんまでさ。本当にお利巧さんの賢い良い子だったよ。
誰も居ないところで、ひとりで逝かないでね、って云って居たから、ちゃんと皆が揃って居るところで看取られながら旅立った。アーロンがお嬢を迎えに自分の命日に戻って来て、ずっと傍について居てくれたのだと思う。しんどいのが長く続かぬよに見守って、そして連れて行ってくれたのだ。きっと。だからお嬢は安心して旅立てたろう。眠って居るだけみたいな、安らかな顔だった。
やれやれ。未だお嬢の不在と云う事実に実感がわかない。籠へ寝せた亡骸に頬寄せてうわーんと泣いて、火葬の予約入れたり後片付けしたりして、写真見ながらまた泣いて。お線香あげて手を合わせると、呼んだら「にゃっ」と短く答えて薄目を開けそなお嬢が、そこに居るんだ。

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