双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

十二月の風景

|日々| |猫随想|


怒涛と狂騒の十一月が終わり、暦が十二月へ移って少し経つと、
粛々といつもの顔ぶれが戻り、徐々に落ち着きと平穏が戻り、
十一月から離れて居たあれやこれやが、皆ここへ戻って来て、
手を休めて深呼吸。ぐるり見渡せば、いつもの佇まいとなって居た。
そうして日々の過ぎゆく中にあって、ただひとつ戻らない。
ただひとつだけ、去ってもう戻らぬ小さきものの、大きな不在。
十二月の風景の中に、お嬢だけが居ない。ぽっかりと。

ささやかなクリスマスの設え、音楽、ストーブの匂い。
あかりの灯るあったかな店の中に、小さくなったお嬢は眠って居る。
ずっと気に掛けて下さったお客さん方から寄せられた
かあいらしい花籠やお供え物で、遺影のまわりは賑やかだけれど、
今頃になって、ぎゅうと、胸のつぶれるよな寂しさが押し寄せる。
いつもの時間。いつもの会話。いつもの窓の外。
どれもがいつもと同じ中に、ただ、お嬢だけが居ないんだ。
たったひとつの足りない、十二月の風景。

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