双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

山の肉、再び

|雑記|


鉄砲撃ちをする人から、野生の猪の肉を頂戴した。
今年の一月にも届けてくれた()のだけれど、
この度の肉も又、血抜きや下処理に抜かりの無い、
大変にきれいな、良い肉なのであった。嬉しい。
この人は、山で乳牛の牧畜を営む素朴な人で、
一寸、バスク人のよな顔立ちをして居る。
「昨日仕留めたばかりだけど、雌の猪だから、
煮ても焼いても、やわらかくて美味しいと思うよ」
喜んで受け取ると、こんなに喜んで貰えるなら、
また持って来てあげようね、と仰った。


袋から取り出した、真っ赤な、立派な肉の塊を、
分厚い脂身の部分も、少し残して切り分ける。
山の肉はあれこれと余計に弄繰り回さず、只、
玉葱、大蒜、茸と一緒に、葡萄酒で煮込む。
芋と人参は、下茹でしたのを後から加えると良い。
味付けは塩と胡椒、香草にバルサミコ酢を少々。
そうやって、くつくつと弱火で一時間半。
鍋から立ち上る湯気が、ふくよかに香る。
滋味深く、野趣溢れる、山の命の恵み。
嗚呼、いただきます。有難う。

<