双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

爺様の冬支度

|手仕事|


一昨年『針と糸+猫』(→) と云う、小さな編み物の本を買ったら、其処へ紹介されて居た、おめかし用の猫ケープがかあいらしかったので、そのうち爺様にも編んでやろうかな、と想いながらも、よくよく考えたら必要ないよな気もしてきて、結局、爺様の存命中に編まれることは無かった。
折りしも無情な寒波が押し寄せて居た、先週のと或る日。掃除のついでに、爺様の骨壷を拭いてやろうと手に取れば、まあ冷たいこと冷たいこと。つい気の毒となって、掌に包んで温めてやったのだったが、真白い骨壷の無機質な様も寒々しさを誘って、其処へふと、あの猫ケープを思い出したのだった。



緑に茶、薄灰色の中細糸三色を二号針で。小さなものなので、余り毛糸と僅かの時間で出来た。私はそもそも、猫にあれこれ着せる料簡を持たないのだけれど、このくらいのものなら、おめかしに丁度良いかな、と。





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ふむ。是で寒がりの爺様も、お洒落にぬくぬくと過ごせよう。来年はお下がりとなって、若旦那の所へ行くかしら。

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