双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

些事

|縷々|


どうやら今日も涼しくて、空模様は落ち着かない。
窓の外を眺めやり、洗い桶の手元に目を落とせば、
薬指の節に棘を抜いた痕が小さく、ちくりとする。
何処かで刈った青い草の匂いへ小糠雨が混じり、
僅かに風が変わった。記憶に沈んで居た、夏の匂い。
通り端の紫陽花が、少しずつ立ち枯れ始めて居る。
ああして次第に色を失いながら侘びゆく様が、好きだ。

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