2011-07-23 些事 |縷々| どうやら今日も涼しくて、空模様は落ち着かない。 窓の外を眺めやり、洗い桶の手元に目を落とせば、 薬指の節に棘を抜いた痕が小さく、ちくりとする。 何処かで刈った青い草の匂いへ小糠雨が混じり、 僅かに風が変わった。記憶に沈んで居た、夏の匂い。 通り端の紫陽花が、少しずつ立ち枯れ始めて居る。 ああして次第に色を失いながら侘びゆく様が、好きだ。