|縷々| どうやら今日も涼しくて、空模様は落ち着かない。 窓の外を眺めやり、洗い桶の手元に目を落とせば、 薬指の節に棘を抜いた痕が小さく、ちくりとする。 何処かで刈った青い草の匂いへ小糠雨が混じり、 僅かに風が変わった。記憶に沈んで居た、夏の匂い…
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