双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

独りの時間

|縷々|

日々の中の独りの時間。気忙しさや人びとから
ふと離れて、やわらかな孤独の訪れるとき。
小さな安堵に、ほどけて、ゆるむ。
相変わらず蛍光灯を切らしたままの、
仄暗い湯船にとっぷり、浸かって居ると、
連日観て居る向田ドラマの、暮らしの欠片が順繰りに、
ぼんやり、ゆらゆらとロウソクの橙に被さる。
寝巻きの上に羽織った、銘仙の半纏。
タイル張りの流し台と、洗い桶。
台所の床下の糠床。冬の部屋の火鉢。
その上でしゅんしゅんと沸く、鉄瓶の湯。

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