双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

フランドルの海

|本|


存外に忙しい日中がばたばたと過ぎ去り、やがて
日も傾いてくる頃には、空が冷たく降りて来る。
伏せ止めの仕方を忘れてしまったおかげで、
編み物は途中で止まったまま、今日も籠の中。


須賀敦子全集の三巻を手に取る。
目次をめくると、最初の章は 『ユルスナールの靴』 で、
そのプロローグは、私がいつも胸に留めて居る言葉で始まる。

きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。


今まで幾度と無く刻んだこの言葉を、年の瀬の心に留め直す。
人生の 「靴探し」 を、決して焦ること無く。
ゆっくりとじっくりと。自分自身と向き合いながら
日々を紡ぎ、歩いてゆこう、と改めて思う。

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