双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

Conquistate voi una stella in piu`...

|蹴球|


トヨタ杯準決勝を観戦に横浜まで。
当面イタリアを訪れる予定の無いことなど考えると、マルディーニミランを実際に観ることのできる、恐らく最後の機会と思う。同行者は、ミランと云うよりもピッポ狂の旧友Tちゃん、Tちゃんの同僚のN氏、チェルシーファンだが、何故かカラーゼの好きな渋好みAちゃん。道々バッタ屋を横目に夕刻、スタジアムに入場するも、何せ取れた席が生憎ゴール裏に近かったため、物凄い数のレッズ軍の猛威に恐れ慄き、視線の威嚇を背中にビリビリ受けつつ、そそくさと席へ向う(笑)。しかしながら、ふとご近所を見渡せば、大方がミランのユニフォームを着た人々であったので、一同ほっと胸を撫で下ろし、安心しておやつを食べる。さすがに選手たちからは遠いが、2階席の眼下に広がるピッチは、さながらチェス盤、鳥瞰図のよで全体が非常に観易く、中継画面には映らぬ、オフ・ザ・ボールでの動きが存分に愉しめる寸法。
結果はイタリアのチームらしく 1 ― 0。老獪な試合巧者の手堅い勝利で、全てをボカへの雪辱を晴らすための決勝へと向けた、実に省エネ。実に大人の試合内容と相成り候。




しかしいくら省エネとは云え、オッドのクロスは雑、復帰後間も無いヤンクロフスキーは、未だ本調子から遠く、両サイドはどうも宜しく無い。中盤は、守備でも良く働いたピルロと、いつもの調子のアンブロジーニを除くと、ガットゥーゾは存外おとなしく、三人掛かりでマークされたカカーは、局面でさすがの突破は見せながらも、何だか窮屈そう。セードルフに至っては、それは素晴らしく美しいゴールも在ったにせよ、省エネなのか、単に調子が上がらぬだけなのか。些細なミスの目立つ場面もちらほらと。そんな中、ネスタカラーゼのCBは、実に好調で安定感抜群。時折のレッズの攻め上がりにも、すっかり安心し切って観て居られる。特にネスタの守備統率は見事で、ラインは常にきっちりとコンパクトに保たれて居り、遠目にも惚れ惚れする程。立ちあがりから暫くは、相手の様子伺いだったミラン。徐々に自陣からじわじわと攻め寄って主導権を握ってゆくが、決め所で決められぬジラは、やはりいつものジラに変わり無く(苦笑)。
ハーフタイムで休憩所に行くと、隣りのミラニスタの男性二人が、本人の居らぬところでセードルフに説教(笑)。階段を上がったところでは、別の男性らがジラに説教(笑)。落ち着いて席に戻れば、周囲は皆、あの男の名を口にして居る。後半に入り、やがて皆の待って居たあの男、飛び道具ピッポが投入されると、殆どアウェー状態の場内が大きな歓声に包まれた。背中がゾクゾクして鳥肌が立つ。それからはもう一挙手一動足、やることなすこと全てに目が釘付け。嗚呼、ピッポはそこに居るだけで面白い。できればセードルフでは無く、ピッポの泥くさゴールが観たかった。やがてヤンクロフスキーに代わって、我らがバンディエラマルディーニもピッチへと。ひときわの大きな拍手と歓声。恐らくは、決勝前の足慣らしなのだろうけれど、再び鳥肌が立つと同時に、ミランのユニフォームを着たマルさんを、肉眼で見られるのは、もうこれが最後なのだなぁ、と思うと、深々と感慨が押し寄せてきて、遠い親指程の後姿を、しかと目に焼き付けたのでした。
日曜は因縁ボカとの決勝戦パレルモ先生仰るところの 「喉の奥に引っ掛かった魚の小骨」 (苦笑)を取り去ってタイトルを持ち帰ったら、次週はダービー!忙しいぞ!

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