|雑記|
秋の感傷が時たま発する、不協和音。
遠い耳鳴りのよな、茫然の後
柱時計の刻む、時の針が進むにつれ、
それはやがて、一つの同じ音に重なる。
昨晩、と或る麗人が、ランボーの『永遠』を
朗読して居られたので、今日になって
すっかり色褪せた、岩波の文庫を
改めて読み返してみる。
若気の至りも、あの域まで達すると、
それは、鮮烈と呼べる、鋭い輝きに姿を変える。
若き日、一度は憧れはしたけれど、
年を経るにつれ、生き急ぐことなど、
自分には、必要の無いことを知った。
生き急ぐ者は特別な資格を要し、
それを持たぬ者が、生き急ぎたがるのは、
ただ、愚かなだけなのだと。
成熟の美しさを知ることは、
何物にも代え難い…。
銀と銅の戦車軍、
鋼と銀の舟艇群、
白波を切り
野茨を根こそぎ持ち上げる。
曠野の潮流が
引潮の巨大な轍が
輪を描いて、東方へ向い
森の林立する柱に向い、
角が光線の渦になっている
波止場の上に立つ柱に向い疾走する。
Marine / Aruthur Rimbaud