双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

君は忘れてしまっただろ水溜りがひきとめた風景

|縷々|


むく鳥のゆめ (ひろすけ童話絵本)
風も穏やかな土曜日の午後に、
ぼんやり頬づえなどついて、
いつも見慣れた景色を、窓硝子越しに見やり、
ぽつんとやるせない気持ちに
春という、厄介な季節を重ねてみる。
人の気持ちというものの、
何と移ろいやすいことか。そう、
あの娘もこの娘も、あなたも私も、君も僕も。
恐る恐る問うたところで、帰って来る筈のない
返事のように、幾度も去来する
行き場の無い切なさよ。
一杯の珈琲の中に、
たったこれっぽちの慰めを入れて、
そおっと、スプンでかき混ぜる。
好きにも嫌いにもなれず、
忘れることすら出来ずに、
ただ、こうしているだけの
永遠に続いてゆくかのような、
春への想い。

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