双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

お嬢の失踪

|猫随想|


もう丸三日も、お外っ子お嬢の行方が知れない。
水曜の晩、店を閉める頃には寝箱の上に居て、
おやつをあげておやすみを云い、店を閉めた。
翌朝、九時過ぎに出勤してきた頃には姿が無かったが、
いつものことなので、そのまま支度をして店を開け、
やがて昼になり、午後二時になり、全く姿を見せぬまま夕刻になり、
むむむ。さすがにこれはおかしいぞ、と一気に不安となる。

何年も前のことになるけれど、今までに二度だけ、
一日半ほど帰って来なかったことが在り、しかしながら、
お嬢は非常にルーティーンに忠実、且つ非常に用心深いので、
そう云う場合は、何か突発的な事態に巻き込まれたものと思われ、
実際、戻って暫くの間はピリピリして様子がおかしかった。
そして今回に関しては既に三日も帰って来ず、過去最長。
八年間ずっとお世話をする中で、全く初めてのことである。

かわいがってくれて居るご近所のお宅も心配して下さって、
辺り一帯を毎日捜して歩いて居るのだけれど、本当に何処にも
気配が感じられなくて、まるで「神隠し」にでもあったよな。
そうとしか説明のつかぬよな、そんな居なくなり方なのだった。

想像以上にダメージが大き過ぎて、心を落ち着かせることができずに居る。
兎に角、お嬢の無事を願うしかない。嗚呼、どうか無事で居ておくれ。
猫神様たちに手を合わせて、お嬢を守って下さい、と祈る。

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