双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

お嬢の災難

|猫随想| |雑記|


早朝。
ゴミ出しへ出たところで丁度、お嬢と出くわすも、明らかに様子がおかしい。
足取り些かぎこちなく、頭から胴体へ木の枝やら落ち葉やら引っ被った格好で、
一体何がどうなって居るのやら??パッと見た限りではさっぱり訳が分らず、
ところが、すり寄って来たお嬢を抱き上げて、それが何たるかをすぐさま理解した。

所謂「トリモチ」である。*1

トリモチはお嬢の右半身の頬下から脇腹へかけて、べったりと貼り付いて居り、
ここまでの道中に、木の枝やら落ち葉やらをも盛大に道連れとしたのであろう。
しかしまぁ、それにつけても酷い有様である。
一先ず、お嬢には朝ごはんを用意してやって、その間にゴミ出しへ行く。
こりゃ朝っぱらから、えらいことになった。さあて、どうしよう...。
そうだそうだ!いつだったか読んだ記事か何かに、動物保護団体の人が
確かトリモチ除去には、サラダ油と台所用中性洗剤だ、と云って居たヨ!

ゴミ出しを終え小走りに戻ると、お嬢が朝ご飯を食べ終えるのを待ってから、
大急ぎで台所へ連れてゆき、抱かえたまま流し台の中でサラダ油を塗りたくる。
当然ながら、お嬢はギャーギャー猛抗議の大騒ぎである。
それを「はいよはいよ、我慢しようねぇ」などとなだめすかしながら、
毛にサラダ油を揉み込み続けると、強力な粘着物が徐々に溶け出してきた。
根気強くこの作業を続け、粗方溶けた辺りで台所用中性洗剤の出番である。*2
ここで本格的にお湯も加わり、お嬢は更に大騒ぎ。しかしながら大声で騒ぐ割には、
バタバタと大暴れするでもなく、私の二の腕へぎゅっとしがみついて居るだけで、
引っ掻きもせず、噛み付きもせず。実にお利巧、良い子ちゃん(笑)。
お嬢が辛抱強く頑張った甲斐も在り、小一時間がかりでトリモチ除去に成功。
二人とも朝からぐったりであった。(取り切れなかった部分は、所々鋏でカット)

その後、午後になってから、改めてシャンプーできれいに洗ってやったのだが、
湯疲れと鳴き疲れと毛繕い疲れとで、お嬢は日の暮れるまで滾々と眠り続けた。*3
やれやれ、とんだ災難だったねぇ。お疲れ様...。

しかしながら、如何なる経緯であったのかは、知れぬままである。

*1:便宜上”トリモチ”としたけれど、もしかすると、ネズミ捕り用の粘着剤みたいなモノなのか?何れにせよ、強力にベッタベタであることに変わりは無いが...。

*2:拙宅の台所では米ぬかが原料の液体せっけんを使用して居り、この手の合成洗剤が無いので焦ったが、幸い銀行さんから頂戴した粗品の箱の中に「〇ョイ」が在った!助かった!

*3:坊ちゃんズなんて、生まれてこの方、一度も風呂に入ったことなんて無いのにね(笑)。

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