人の命は儚くて渡る世間もはかいかぬ

|日々|

さてと。ようやっとの店開けを数日後に控え、
一昨日から、せっせせっせと準備ヘ取り掛かって居る。
本日は店内の拭き掃除。右手に乾拭き用、左手に水拭き用。
二枚の雑巾を握りしめ、床だ棚だと片っ端から拭きまくる。
幸い天気は、からりと気持ちの良い晴天。拭き掃除日和だ。
もんぺにラモーンズTシャツ、頭には手拭いほっかむりで、
ダダーっと床の雑巾がけ。いやはや、これは足腰の鍛えになるな。
体の動かし様によっては結構な運動で、掃除ひとつも馬鹿にはできぬ。

開け放った窓から風が入って来て、汗ばんだ額をすうっと通り抜けてゆく。
ふと手を止めて、床の上へぺたんと座れば、不思議な心持ちがした。
何だか、ひと月近くも休んだ気がしないなぁ…。
店を閉めたのが、ついこないだのことみたいだ。
黒酢ジュースをごくりとやって、雑巾絞って、再び掃除へ戻る。

昼食を食べてから残りを済ませ、お次は外回りの掃除へと。
蜘蛛の巣、枯れっ葉、土埃等々。箒で掃いて、雑巾で拭いて。
そうこうしたら、お嬢が午後の散歩から帰って来た。
「そろそろ再起動しますよ」
そう語りかけて、頭をちょいちょいと撫でてやると、
フン。そんなこた分かっとるわい、とでも云いた気な顔して
どさり。わざわざゴミを掃いて寄せた足元へ寝転がった。
やれやれ、ふわふわの毛皮がゴミだらけだ。
息を吸って、空を見上げる。実に五月の爽やかなことよ。