双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

小母ちゃんは祈る

|猫随想|


野良ファミリーをいち早く抜け出し、入籍したばかりの叔母夫婦宅へ
運良く引き取られて、仕合せいっぱいに暮らすこえだちゃん
初老の夫婦にとって、やって来た子猫は既にかけがえのない存在となった風で、
特に夫であるKさんが、甲斐甲斐しくお世話して居るのらしい。*1

しかし。
こえだちゃん以来、ご縁はぱったり。
連絡も問い合わせも無いまま、只々時ばかりが過ぎてゆき、全く。
是では良縁に繋げるどころじゃないよ…と、やきもきして居たのだけれども、
方々へお願いした張り紙を見た人からの電話で、男子猫への申し出が在り、
わーい!と喜んだのも束の間。”カギしっぽ”だと云うだけの理由で即破談...。
人間とは、如何に身勝手で愚かな生き物か。嗚呼、嫌だ嫌だ。*2
と撃沈しょぼくれの矢先、常連Sさんより待ちに待った連絡が。
「遅くなりましたが、検討中だった女の子。引き取ることに決めました!」
二週間ほど前にお声掛けし、消極的な検討以来返事の貰えぬままで、
殆ど諦めかかって居たところへ、歓喜のタコ踊りである(笑)。
同じ日の午前はどん底、午後には頂。やれ忙しいことだ。
引き取ったその足でSさんは赤ひげ病院へ行き、健康診断やらウィルス検査やら。
健康状態はお墨付きを貰った、とのことで一同ほっと胸を撫でおろす。
その日の晩、早速に写真を添えた報告のメールを送って下さった。
子猫はすっかり寛いだ様子で、お嬢さんの膝に乗っかって甘えて居り、
数々の気苦労やらモヤモヤやらも、この一枚に吹っ飛んだ。
かと云って、他の兄妹たちは未だあすこに残って居て。
あんな環境だのに、健気に結束して凌いで居るんだよな…。
あの子らにはきっと「この小母ちゃんが来ると、妹らが減ってゆく」と
怪しまれて居るのかも知れぬが、小母ちゃんは猫さらいじゃないんだよ。
小母ちゃんはね、皆に素敵な家族を見付ける”仕合せ配達人”なんだよ(笑)。

ふうむ。
お前らに関わったのは、一体どうした因果かねぇ。
是も何かの縁か、或いは導きか。
残る子らも、先の女子二匹に続け!と心から祈るばかりである。

*1:叔母は「子猫付きで嫁入りだね」と云われて居る(笑)。因みに叔母は再婚だが、Kさんは初婚。

*2:ならば問うが、そう云うあなたは一つと非の打ちどころ無き、全てが完璧な絶世の美女であるのか?(゜д゜) 先ずは、鏡に己の姿を見よ。

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