双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

拙宅のカリカリ事情:主の粗忽篇

|忍び| |猫随想|


少し前のエントリ()からすぐの八月初旬。ビルボのワクチン接種のため、お医者へ行った。一緒に行なった血液検査の結果は、天晴れ。全て正常値の範囲内で、ホッと胸を撫で下ろしたものの、BUN(尿素窒素)とリンはずっと安定して居るので良しとして、一昨年辺りから上昇傾向にあり、目下の懸念であったCRE(クレアチニン)の数値が、今回の検査でものの見事にガクンと下がったのは、何やら意外でもあった。
要因として考えられるのは、昨年の検査の結果から、先生の指示でそれまでのケアフードから療法食へと替えたことくらいで、漢方薬の内容もほぼいつも通り。特に是と云って思い当たるふしは無い。確かに”ロイヤルカナン社”の『腎臓サポート』は、腎臓向け療法食の中でも、タンパクとリンの含有量についてはダントツ、飛び抜けて低い。しかしながら「忍びちゃんは果たしてそれで良いのか?」と引っ掛かるのも又、その極端過ぎる成分値故(まぁ、他にも合成添加物だとか原材料の質だとか、色々と気に入らぬ点は在るが)なのだけれども、何れにせよ、今回の結果がフードの内容に因るものと考えるのが、やはり妥当なのか...。後日、在れば今後も何かと便利だろう、と今までの血液検査の結果を一覧にしたものを拵え、其処へフード遍歴も付け足して照し合せてみた。
(拡大図はこちら→◆)

*赤字は正常値範囲オーバー。
*2014年1月以前は、未だ幼猫期と云うことで食事は普通食。


ふむふむ。こうして改めて見てみると云うと、確かに『ル・シャット デトレ』を与えて居た時期と、CREの赤字の重なって居るのが分かる。しかし、以前に『腎サポ』を止めた後、同じく療法食である『キドニーキープ』を一時期与えて居たことも在り、こちらは獣医師系療法食の中でも比較的数字の緩い部類で、成分値的に『デトレ』と然程の大きな差は無い。『腎サポ』だけが特別と云うことも無かろうし、ビルボの現在の状態を考えれば考える程、どうにも腑に落ちないのだなぁ。
このままモヤモヤして居ても仕方が無いので、一旦頭を切り替えることし、以来せっせと、療法食以外のフード事情について種々調べ回りながら、やがてふと『デトレ』が謳う、或る特徴について思い至ったのであった。

この腎臓に配慮したケアフード*1最大の特徴は、フード自体に”ヘルスカーボン”を練り込んである点。ヘルスカーボンとは、即ち植物から作られた活性炭のことで、多孔性構造体で強い吸着力を持つことから、しばしば腎不全の治療で処方される「ネフガード」の主原料としても使用されて居り、体内の尿毒症物質、有害物質などを吸着して、便と共に体外へ排出させる働きが在るのだが、是を予め直接フードに練り込んだことで一手間省いたところが、なかなか気の利いた商品である。「御飯で解毒もできるとは、まさしく一石二鳥!」特に深く考えもせずに与えて居た訳だけれど、今になって考えたら、毒素は兎も角として、もしや。ひょっとして。まさか。フードと一緒に与えて居る漢方薬の成分なんかも、ヘルスカーボンに吸着されちゃったりしない...よね??慌てて調べたところ、嗚呼。やはり案の定であった。
拙宅に限らず、犬や猫に薬を与える際には、大抵がフードに混ぜて服用させる訳だけれども、ヘルスカーボン剤の注意点として、分子量の小さな物質も吸着してしまうため、他に薬を服用する場合はくれぐれも一緒に服用せず、半時以上の時間を空けるべし。つまり、ヘルスカーボン剤と他の薬を一緒に服用すると、その薬の成分も吸着されてしまいますよ、と。さすがに「ネフガード」などと比べれば、所詮は練り込みフード。その効果は随分と緩いものであろうが、しかしながら、薬が自身の持ち得る百パーセントの力を充分に発揮できる環境であったか、と云えば、果たしてそうでは無かったであろうし、良かれと思ってして居たことが、結果として相殺のよな形となり、是が数値に表れていたかも知れぬ可能性は、非常に高いのだ。
嗚呼...。何て勿体無いことをしたのだろ。既に過ぎたこととは云え、今頃に気付いて、やれやれ。相変わらずの粗忽ぶりである。トホホ。


(カリカリ事情は続く。)

*1:因みに商品名の『デトレ』は、解毒を意味する”デトックス”から来て居るらしい。

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