双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

由無し事

戯言||


■と或る日。初めて来店した女性のお客様に「お外に居た猫さんは野良さんですか?」と聞かれ、穏やかで控えめな佇まいに猫アンテナがピピと来たので、剣菱の経緯を説明したところ「嗚呼、そうだったのですね。良い方に出会えて幸運でしたねぇ」としみじみ仰られ、聞けばご自身も野良猫を保護し、十数年一緒に暮らしてらしたのだけれど、去年に病で亡くされたとのこと。暫しの猫談義の中で、来店する若い女性客に”キャー!カワイイー!!”と黄色い奇声でスマホを振りかざしながら、怖がって嫌がるのに無理に追う人が多くて、道路に出ちゃったら危険だし、あれ本当に困るんですよねぇ…と話すと「それは絶対駄目ですよね(きりっ)。”キャー!カワイイー!!”は、猫にとっては脅威そのものですからっ」そして一呼吸置いた後、何故か小声で「でも”自称猫好き”の人って、そう云う人多いですよ。猫好き猫好きって云いながら、全然猫のことが分かって居ないの…」と仰るので、嗚呼!確かにその通りだわな、とつい可笑しくて笑ってしまった。因みに剣菱嬢は、この女性には声を掛けて挨拶して居た。人を見る目の在る賢い娘だよ。


■先の話に出た”自称猫好き”だが、こちらから訊ねた訳でも無いのに、自らグイグイと「私って、猫が好きなんです!」などと積極的にアピールして来るよな人のことかと想う。恐らくは、昨今の猫ブームとやらも是に関係して居るのかも知れぬが、”自称しない”猫好き、所謂”猫飼い”の人たちは、相手が自分と同類である確信が無ければ、誰彼構わず、自ら積極的に猫について語ることは殆ど無かろう。しかしひと度、相手が同類であると分かれば、熱い猫談義に花を咲かせるのである(笑)。勿論、見知らぬ猫(野良猫、家猫問わず)に対して、前述のよな暴挙を以って接することなど在り得ない。そんなことをすれば、猫飼いの名折れである。

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