双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

掃除機

|モノ|


掃除機を新調した。それまで拙宅で使って居た掃除機が、遂に駄目になってしまったためである。駄目になったと云っても、モーターなどの機械部分がどうこうした訳では無い。ピピンの若旦那の悪戯の矛先が、突如として掃除機のホース部分へ向けられた所為で、蛇腹状のホースの至るところが、鋭い牙の餌食となって穴だらけ。最初のうちはビニルテープを巻き付けて凌いで居たのだけれど、数ヶ月の間にホースの九割が黒いテープで覆われ、更にその上からも齧られ続けた挙句、いよいよ掃除機としての機能が奪われて、手の施し様が無くなってしまったのである。
しかしそもそも、このシャープの掃除機。いつから使って居たのだっけな?はたと考え、そして驚いた。そうだ、是は私が高円寺南のアパートへ引っ越したときに買った品で、確か新宿のヨドバシか、或いはさくらやのいずれかで買い求めたと記憶して居る。そうすると、実に二十一年前と云うことになろうか。しかしまぁ、日頃のぞんざい手荒な扱いにも拘わらず、今の今まで一度たりと壊れず、二十年間良く持ち堪えたものと感心する。物持ちが良いと云うよか、別段大事に扱って居たのでも無いから、是は単に製品の耐久性云々に因ることであろうけれども、ホースの破壊を免れれば、まだ使えて居たのだから、実に天晴れな掃除機と云えよう。
早速に、新たな掃除機(因みにこちらは日立製品)を箱から出してみた。価格的に見ても、恐らくは、以前の品と大体同等ランクの品であろうと思われるが、ホースに繋げる筒状の延長管は伸縮自在となって居て、先端の頭部分もくるくると可動。更には手元近くに、電源と吸引力の強弱を調節するボタンが在り、本体もかなり小型軽量化されて居るなど、いやはや。二十年の月日の大きさを痛感させられる。否、幾ら何でも、私とて電化製品の進化を知らぬ訳じゃ無い。只、今まで。つい昨日まで、特に不自由とも感じず、至極当たり前に使って居た筈のモノとの、そのあまりの差に、何だか可笑しさが込み上げて来たのである。
それと同時に、もし仮に。以前の掃除機が不自由と感じられたとして、果たして新たな掃除機を買い求めることをしただろか?と考えると、使用不能となってしまったから必要に迫られて買ったのであって、それ以外の理由で新調する、と云うのは考え付かぬ。たかが掃除機一つ*1で、己の頓着の無さを改めて知ったのであった。
尚、肝心の使い勝手についてだが、実に快適快調。二十年前の品と比べて、格段に良くなったことは素直に有難い(笑)。

*1:まぁ、掃除機に限らず、何事においてもそうだのだけれども...。

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