双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

軒下の姐御

|猫随想|

昼頃、郵便屋さんから郵便物を受取ると、
赤ひげ先生の所からの葉書が交じって居た。
ワクチン接種の時期を知らせるものだった*1
あ、そうか。
剣菱不妊手術から、もう一年が経つのか。
丁度、去年の今頃だったんだ。
あのすったもんだから、あっと云う間の一年。
ついこないだのよな気がするのにな。
早いものだ。
剣菱嬢は、野良だてらに毛艶宜しく、
小柄ながらも、しっかりとした体躯となり、
前足なんぞ、拙宅の坊ちゃんらよか逞しい。
そして今や、すっかり軒下住まいとなった。
一日のスケジュールも、ほぼ決まって居て、
朝は七時半頃に起床して居る模様。
その後、巡回がてらの散歩へと出掛け、
昼前にはお腹を空かせて戻って来る。
出歩く範囲は、ここから見渡せるくらいで、
せいぜい半径100m以内程度だろか*2
そうやって、散歩と軒下とを数時間おきに
行ったり来たりして過ごし、夜は遅くとも
八時頃になれば、寝箱に入って寝てしまう。


近頃では季節柄か、時折軒下まで侵入して来る
不躾な輩が居て、大抵はそそくさと去る風だが、
先日は相手(雌雄は不明)がしつこかったらしく、
恐らくは、寝込みに不意を付かれたのだろ。
突然ギャーと聞こえて、声は裏手の野原の方へ。
次第に遠のきながら、暫くの間は互いに牽制し合う
唸り声が聞こえて居たが、やがて聞こえなくなった。
何しろ現場を見て居なかったため、剣菱の様子が
心配だったのだけれども、それから半時程した頃。
鍵をかける前に、軒下をそっと覗いてみたところ、
嗚呼、良かった。まるで何事も無かったみたいに、
剣菱は寝箱の中へ戻って、まん丸く眠って居た。
「アタシの縄張りへ勝手に入るんじゃないよ!」
とばかりに、仁義無き不躾者を追っ払い、
ぎゃふんと云わせて、さっさと戻って来たのだろ。
いつの間にか、格好良い姐御になったなぁ。

*1:まぁ、先生も承知の上だとは思うし、受けさせてやりたいのは山々なれども、触れぬ=捕まえられぬ=連れて行かれぬ。即ち、ワクチン接種は無理なのであるよ...。

*2:先週は、裏の畑で野ネズミを捕まえて、むしゃむしゃと食べて居る現場を目撃した(笑)。

<